October 07, 2010

玄米の吸水時間 <完全版>

「自由に空を飛び 幸せを歌う鳥のように」ごはんを炊くために、絶対欠かせないものが「2つ」あります。

みず













ひとつは、『熱』。
もうひとつは、『水』ですね。

『水』があって初めて、お米は炊けるんです。
水がないと、煎り米になっちゃうでしょ。

炊くは、『火のコントロール』と同じくらい、
この『水』のコントロールが、大事なんです。

ここでは、ごはん炊くときの『水』について詳しく説明します。

「玄米って、芯が残って美味しくなかったわよ」と云う人ほとんどは吸水不完全。
玄米の『芯』まで、水が行き渡らない状態で、炊いてしまっているの。

水が中心に届かず、米粒の表面が糊の壁になり、芯まで水が入らない。

その状態でがーっと『熱』をいれちゃうと、お米はごはんになりません。
中心そのままで、外側だけが炊ける。
結果、芯が残るのね。


基本は『お米は、自分の容量の約130%の水を吸う』というとこ。
100ml のカップ1杯の米を炊くのに、130mlの水が必要だと云うことです。

ここ大切なとこだから図解しとくね。

吸水


































玄米が「ごはん」として完成するために、
玄米に<130%の水>を送り込む必要があるの。


130%の『10%』は米を洗うだけで、吸い込まれます。
それから水に浸けといて、あと『20%』が吸い込まれるの。
合わせて、『30%』の吸水が終わるのね。
(吸水のスピードは、米によって違います、これは目安ね)

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吸水させる水も大事だけど、米を洗う水も大事だと云うこと。
炊くのにミネラルウォーターを使う人は多いけど、洗米にも浄水器の水を使えれば良いですね。

我が家は、天然の湧き水がたっぷり沸きますという人は、それが最高。

ちなみに『アルカリイオン水』はダメです。
お米のデンプンが壊れます。


で、どのくらいの時間、吸水させとくか。
ここが問題。

白米は15分~30分くらいの吸水で良いんだけど、
玄米は、ぬか層で表面をガードされている分、吸水にすごく時間がかかるの。


初めて圧力鍋で玄米を炊くぞと、意気込んで、
吸水時間をネット検索するとたぶん3通りだと思う。

1)無吸水
2)4時間吸水
3)もっと長く吸水させて、発芽玄米にする


あれ?って思うでしょ。
はい問題です。どれが正しいでしょうか?


正解は。
全部、正しい。

浸ける時間は、人によってバラツキがあるのですね。
じゃ、説明します。


(1)無吸水

実は、玄米は無吸水でも炊けます。
マクロビオティックのお店でも、そういう炊き方をする人がいます。

ぷりぷりして、噛み応えのある玄米になる傾向があります。

洗米で、10%の水を吸い込んでいるから、あと120%の水が必要だと云うこと。

3カップで、3.6カップの水ね。

僕は無吸水の炊き方は、塩を入れないで、水と米だけ入れて、沸騰させる。
沸いたら塩を入れて、ふたをして、後はおんなじ。

無吸水もいろいろな炊き方があるよ。
鍋に対して、少ない量だと美味しく炊けない傾向があるから、
使う圧力鍋の7割以上の量で炊くのがオススメ。


(2)4時間吸水

これが、僕は一番オススメ。
水温にもよるけど、半分くらい~7割くらいの吸水。

温度高い方が早く吸水されるから、夏場は2時間で良い。
冬は、ちょっとだけお湯を差してるかな。

水温が高い方が、どんどん吸水するから、せっかちな人は温度上げたがるんだけど、
実は、美味しくない。
温度が高いと、米が割れやすくなるからね。

逆に、冷蔵庫で吸水する人もいるけど、僕はオススメはしないの。

冷蔵庫の低温(5℃)だと、玄米も寒い。
玄米の発芽酵素さん達が働けないです。

水は浸みこむけど、発芽しない。
つまり、水温はあんまり気にしないで、普通の温度で良いですよ、ってこと。

炊くときは、米と同量の水。ちょい少なめでも良い。

◎玄米って、どうやって炊くの?玄米の美味しい炊き方


(3)もっと長く吸水させて、発芽玄米にする

「発芽玄米」という言葉が出ました。

玄米は、『生きた米』って云うでしょ。
短い時間でも、吸水しながら、玄米は発芽しようとするの。

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玄米君で説明します。

水に入った玄米は、おっと目を覚ます。

「チャンスだ!芽を出そう」

しかし、芽を出すには、エネルギーが必要。
エネルギーを生むためには、「糖」が必要なんだ。

玄米君は自分の体の中にある酵素さん達を使って、胚乳のデンプンを分解し始める。
デンプンは分解して、糖になりそれを使ってエネルギーを作るんだ。

人間にとっても、糖は分解しやすい。
その他、分解して出来る栄養素もすごく重宝するんだ。
GABA(ギャバ)とかね。

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ファイトケミカルで有名なGABA。
健康に関心のある奥様に、絶大な人気を誇るGABAも、玄米を水に漬けとけば出来る。

作り方は簡単だけど、大変。

ぶっちゃけ発芽するまで水に漬ける。
それだけなんだけど、玄米は8時間以上水に漬けると、水が悪くなる。
夏場は、もっと頻繁に変えないとダメ。

上手に出来るとこんな感じ。

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可愛い。

炊き方は一緒。
米と同量の水、ちょい少なめ。

炊くと、とうもろこしのような香りがします。




業務用に大量に炊くときは、また独特の水加減の計算があるんだけど、
それは違う記事で書きましょうね。

では、実際、炊き方が違うのはなぜか。


それは、『フィチン酸』が関係してくるんです。

フィチン酸は、天使とも悪魔とも云われる栄養素。
体の中の水銀など有害な重金属を排出する強力なデトックス(排出)効果を持つという人もいるし、
カルシウムなど、大切なミネラルを排出するから「短命」になるという人もいます。

(フィチン酸の説明補足→【マクロビと玄米 4)フィチン酸の中の悪魔?】


フィチン酸問題の答えは、シンプルです。
人間はその長い歴史の中で、米を含む穀物を主食としてきました。
でもフィチンによる【種の絶滅】のような危機は一度もありませんでした。

 なんでも食べ過ぎれば、毒。
 そして食べ物は薬でもない。

これが、長く考えてきた「フィチン酸」に関する僕の答えです。
具体的に、説明しますね。

まず、フィチン酸の排出能力から。

キレート









かに。

フィチン酸は、この「かに」のように、ミネラルを『キレート(結合)』して、体外に運び出す能力があります。
『キレート』とは、「カニの爪」の意味です。

いろいろ危険視されるフィチンですが、事実として。
「体内のミネラルを排出してしまうことはあり得る」と、僕は考えています。

これはアトピーなどの症状のように、体にデトックス(排毒)すべき害をおこす成分があるときは、人間に有益に働きます。
重金属だって運び出しちゃう。
ガンでさえ、消す力があるという人もいますね。

しかし、体質が改善されてからもそのまま同じ食べ方で、玄米食を続けた場合、逆に有害に働く可能性があります。
フィチン酸による排出が、深刻なミネラル欠乏状態を引き起こすデメリット。
長期的に見て短命になること、様々な欠乏症の原因になる可能性を指摘されます。

つまり、その「排出能力」に善悪の判断はないのです。

だからって。
じゃあ、危険。食べるなと云う話ではないの。
このフィチン酸の能力を味方に付け、
コントロールできる。

その方法として『発芽玄米』の特性を利用するの。
 (発芽玄米の説明補足→【マクロビと玄米 7)発芽玄米ってなんですか】

玄米は、水につけると発芽しますね。
玄米が「生きた米」と呼ばれる所以です。

その発芽の過程で、フィチン酸は【イノシトール】に分解されるのです。

分解









うん、こんな感じ。
『イノシトール』に分解されることでフィチン酸は、その排出能力を失います。
分解された栄養素は、水に溶けやすく、体内に吸収されやすい。

IP3









体内に吸収された『イノシトール』は、リン酸とくっついて、
『IP3』というとても重要な役割を持つ物質に再合成されます。

排出能力をセーブして、効率的な栄養摂取が可能なのね。
その大切な働きをするのが、【フィターゼ酵素】

ふぃたーぜ





この子ね。
人間の腸には少ないんだけど、酵母とかが作ってくれる。
だから「ぬかどこ」は、フィチン酸の心配がないのね。

フィターゼは、発芽時に玄米の体の中で作られる。
発芽させると、玄米自身の力で「フィチン酸」は、分解されていくのね。


この玄米の発芽のときの「酵素」の働き。
玄米の吸水状態に、比例します。

『吸水が進めば、発芽も進む』ということ。
『吸水が進めば、フィチン酸も分解されていく』ということ。

発芽状態が完成するまでに、結構、時間がかかるのですが、
半発芽状態でも、フィチン酸は分解されています。

通常、炊くなら4時間程度の吸水ですね。
このくらいの吸水が、一番味が良い。

8時間ならより「発芽」は進みます。

じゃあ。
まとめます。

1)デトックス(排毒)として玄米食をするなら、
  玄米は洗米だけ。強めの圧力がかかる鍋を使った『無吸水炊飯』。

2)その力を弱めたいなら、4~8時間程度の吸水による『活性状態の玄米』。
  つまり。いつもの玄米ごはん。
  精米して、『分搗き米』にしても良い。

3)排出効果を完全に無効化するなら『発芽玄米』または、
  『雑穀入り白米』にすれば良いの。
  

自分の体に合わせて、使い分けです。

僕はね。
マクロビオティックだから、何が何でも玄米だとは考えていないの。

今のように「玄米」が食べられるようになった歴史は、実は古くありません。
かまどで焚くと、玄米炊飯はたくさんの薪を必要とするから。
基本的に、分搗き米だったのね。

玄米には、強い排出能力があります。
それで一時的に病気が治ることもあるかもしれませんが、
だからといって同じ食生活を続けても、健康でいられるとは限らないのです。

自分自身の感覚、「心地よい」と感じる自然な気持ちを大切にして欲しい。
その時の自分や家族の体調を観察しながら、
柔軟に考え、選択していくこと。

そのバランス感覚が、僕はマクロビオティックだと思います。


僕は、ごはんが好きです。

この国に生まれて、ホントに良かったと思う。
昔の人みたいに、ただシンプルに、ごはんの炊けた湯気に喜び、
家族で囲む食卓に幸せを感じたい。

私たちは、食べることでこの世界とつながっています。

植物にしても、動物にしても、みんな生きていました。
その「いのち」を自分の中につないで、私たちは生きています。

食べたものが体を作る。
何を食べるかは、大事です。

それ以上に、
これを食べて、僕がどう生きていくのか。
それが大切だと思うの。

食べるって、生きることだと思うんですよ。



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bluetailhappiness at 19:15│Comments(13)TrackBack(0)clip!

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この記事へのコメント

1. Posted by fujitamanegi   October 08, 2010 11:28
大活躍ですね、玄米くん。

つくづく脱帽です。ここまでまとめるって凄いです。
私は美味しいご飯を炊いているんだろうか?
ずっと三食ごはんを作り続けていますが、美味しくご飯を炊いているか?と言われたら、悲しいけれどそうではないような気がします。だって安定してないんですよ。日によってまちまち。
ムスコが産まれてからは分づきご飯を炊くことが増えました。それでも玄米は炊いてます。
ムスコが一番正直です。美味しくないご飯のときは、箸が進みません。美味しいときは「なんぼでも」食べます。お菜無しで、ご飯だけでも。
そんなムスコ、私が実家に連れて行くと実家のガス窯で炊いた白米の冷やご飯を実に美味しそうに食べるのです。実家の冷やご飯を越えるご飯を炊きたいですよ・・・ホントに。白米のような玄米ご飯って、やっぱり難しいのかな~。
2. Posted by papa   October 08, 2010 17:39
たぶんプリントアウトすると、1メートルくらいある記事です。
携帯で読む人に、申し訳なくて。

知っていることは全部書いておこうと思って、記事3本分をくっつけました。

子供はホント、正直ですね。

ユウは、結構、ちゃんと味の違いを言い当てるし。
タロウは、なんでも食べます。雑食。

ヒメは・・日によって、好き嫌いが違います。
酒のつまみが好きだし。


僕は玄米を否定しません。
だって、玄米美味しいと思うもの。

だから楽しくつきあっていきたいと思います。
シンプルに美味しいと感じられるのが、良いなぁと思うのね。
3. Posted by タンボロッジの料理長   October 15, 2010 20:28
ぱちぱちぱちぱち(拍手)
実にうまく説明されていて、わかりやすいです。
こんな記事はありがたいです。
プリントして「神棚」に飾っておきましょう。
4. Posted by papa   October 15, 2010 22:58
こんなんプリントしたら、巻物になりますよ(笑)。

でも、奉納するには良いかも。
5. Posted by annzu   July 21, 2011 22:38
はじめまして、玄米の炊き方でお尋ねしたいのですが、本で読んだのですが(今は手元に無く筆者がわかりません)20年前くらいにわかったそうですが,玄米は12時間以上水につけて発芽モードにしてから炊かないと、種を守るために殻にある毒素がついたままなので胃を悪くする事が有るという内容でした。発芽モードになると殻から外れるので水を取り替えて炊くのが良いとの事でした。最近は、炊飯器でも圧力鍋でも炊けるので,昔のように水につける時間が短く、玄米を食べていて胃を悪くしたという人が多いのはそのせいだと。毒素の名前もはっきり覚えていなくて、あやふやな質問になってしまいましたが,そんな事は無いのでしょうか? 筆者は医学博士でした。
6. Posted by papa   July 22, 2011 00:01
はじめまして、annzuさん。

アブシジン酸のことをおっしゃっているのではないかと思います。
読まれた書物は、西原克成先生のものか、安保徹先生のものではないでしょうか。

【アブシジン酸】は植物ホルモンの一種で、植物の休眠、成長の抑制(実が未熟なときに発がしないように抑制している)という働きがあります。
腸内細菌に悪い影響があるといわれるようですが、そのプロセスに僕は詳しくありません。
いろいろと玄米は、胃に負担なようですね。

アブシジン酸の毒性を、どう思うかと云われると、僕は気にしません。
ご飯、まずくなるし。

annzuさん。

玄米は素晴らしい食物であると、思いますが、その反面、毒の性質も持ちます。
毒も薬も、「人間に影響力をもつもの」という点で同じです。
どんなものでも、食べ過ぎれば毒です。

食べ物に悪いものはありません。
私たちの食べ方が悪いのです。

マクロビオティックでも、玄米が絶対ではないと思うの。
食べてて、心地良ければ食べればよいし、具合が悪ければ、食べない。

自分の体に耳を傾けて、その時、その時のバランスを図っていくのが、僕はマクロビオティックを実践する云うことだと考えています。

ごはんから立ち上る湯気に、心が躍る。
その幸せが、TRUEですもの。
7. Posted by annzu   July 23, 2011 13:43
お返事をありがとうございます。

おっしゃる通りですね,自分の体に心地よければそれで良しでしたね。
基本を忘れていました。

どうもありがとうございました。
8. Posted by ぺれちょんぴん   March 23, 2012 23:10
はじめまして。
玄米否定派と肯定派の強烈な「こちらが正しい」情報に頭が混乱している中でここに辿り着きました。
「こうじゃなきゃダメ」ではなくて「どちらも正しい」のだと。
玄米も雑穀米も白米も好きなんです。
結局私はご飯が好きなんです。
その時自分の体と心が求めるものに従う事に決めました。

ごはんから立ち上る湯気に、心が躍る。

本当にその通りだと思います。
それこそがご飯の真髄ですね。
色々と勉強になりました。
ありがとうございました。
9. Posted by papa   March 24, 2012 08:38
ぺれちょんぴん、さん。
白米って、米食文化の中では、進化だと思うんです。
白米が江戸時代くらいから、広く食べられるようになって、
食文化がとても多様化に発展する原因になったように思います。

そのかわり、脚気が流行りましたけど。

物事には、良い面もあり、悪い面もあります。
どっちも本当。
どちらかに執着することなく、手放していくことで、
その2極から離れて、静かに物事を眺めることが出来ます。

美味しいごはんを食べましょう。
僕も、ごはん好きです。

それに何を食べるかより、
それを食べて、今日一日何をするのかが大切だと思うのです。
10. Posted by papa   April 11, 2012 07:13
Nさま。
メールで連絡差し上げましたが、
記事の内容を無視して、
コメントで個人的な宣伝文を書くのは、あまり喜ばれないことです。

また、正しいということを、正しいと主張することが、
必ずしも正しい結果を生むとは限りません。

コメントを削除することは、私の主義に反することですが、
頂いたコメントは、未公開にして保存させて頂きます。

このブログに訪れて頂く方に、楽しい時間を過ごして頂くことも、
私の願いなのです。

どうぞ、あしからず、ご理解下さいませ。
11. Posted by マクロビ大学生   December 07, 2013 22:53
5 都内にて今年1月からマクロビを習っているものです。
とても読みやすく素敵な記事ですね。あまりに感動してしまったのでコメントを残すことにしました。

マクロビを習い始めた時に最も悩んだことに、「適した水」と「発芽状態」がありました。水について講師の方に質問しても「分からないが気にするならいいものを」というお答えで困っていました。素麺などで「電解水」の使用を謳う商品を推奨していることもあり、8割浄水の水道水と比べてしまって二月ほど悩んだものです。発芽に関してもテキストには記載されておらず、「水につけると表面の膜が分解されるし、酵素の活動で吸収しやすい栄養になるよ」ぐらいの解説でした。いやあ、玄米の炊き方は実に奥が深いです。

吸水量と温度の分析、玄米と発芽玄米の区別は正に目から鱗が落ちた思いです。欲をいえば、個人的な悩みの種だった「アルカリイオン水」についてもう少し補足を頂けたらと思います


本当にありがとうございました。
12. Posted by kikupuu   November 14, 2014 13:01
5 はじめまして。
玄米 給水時間 の検索よりたどりつきました。
玄米良い悪いの意見があり、とまどっていたところ、とても合点がいきました!
ステキなブログですね。ありがとうございます。
私のブログで紹介させていただきました。
13. Posted by papa   November 16, 2014 09:39
ありがとうございます kikupuuさん。
玄米の記事は、近いうちに書き直して、完全版の記事をあげようと考えています。
10数年炊いてきて、やっと最近、満足がいくものが炊けるようになりました。

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