January 30, 2011

マクロビと進化論 4)宮沢賢治の「一日ニ玄米四合ト」は食べ過ぎか?

詩人、宮沢賢治(1896-1933)の代表作といえば、
『雨ニモ負ケズ』。

雨にも負けず

「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」で始まる、とても有名な詩ですね。

その一節に、

「一日ニ玄米四合ト
 味噌ト少シノ野菜ヲタベ
 (一日に玄米4合と、味噌と少しの野菜を食べて)」

という文章があります。
玄米4合といえば、炊飯した状態で1.2kgというボリューム。

どんだけ玄米が好きなのか?
いや、いくら玄米が好きでも、賢治さん、食べ過ぎでしょう。
そういう話になっている。

宮沢賢治は、食べ過ぎか?


答から云うと、賢治さんはこんなに食べていないのですね。

「雨ニモ負ケズ」は、「そういうものに わたしは なりたい」と終わるように、
宮沢賢治の「こういう人になりたい」という願望を書いたものです。

賢治さんは、幼少のころ赤痢で隔離されていた事がありました。
赤痢に感染した彼の父親は、それ以後胃腸が弱くなったといいますから、
賢治さんも胃腸は丈夫でなかったと考えられます。

家族みんなで玄米を食べていたところ、
賢治さんはしょっちゅう下痢をしてつらかったと手紙に書いています。
どっちかというと白米を食べていたらしい。

この答だと面白く無いなぁ。
別な視点で行きましょう。
うん。


清貧に生きたいと願うこの詩の印象から見て、
なんで玄米だけ、がっつり4合なの?

・・・と思いませんか?

昭和30年頃までの、日本人の食生活は、今とは違います。
基本、『大量の飯』と『わずかな副食』で、腹を満たすと云うものでした。

旧日本軍の「軍隊調理法」では、1日に1人6合が基本。
江戸時代の扶持米(ふちまい・武士の給料のこと)で、『1人扶持』といえば男扶持で1日5合。
江戸時代から、昭和初期にかけての成人の平均的なごはんの消費量です。

賢治さんの『4合』は、むしろ少ないくらい。


実は。
僕たちの主食として、「穀物」は適していないのです。

僕たちが必要とするアミノ酸を、
穀物のアミノ酸だけで供給するのは、とても効率が悪いからです。

アミノ酸は、体を作る原料になる大切な成分。
穀物のアミノ酸には、ヒトが自分の体で作れない必須アミノ酸のうち、
『リジン』がとても少ない。

あと、ほとんど足りているんだけどね。
リジン100%チャージする頃には、山盛りの「穀物」が必要になる。

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例えば、僕が「うどん」だけで生きていこうとすれば、
約2kgのうどんを食べなくちゃ、リジンが足りない。

うどんは好きですけど。
うどん2kgじゃ、あきらかにカロリーオーバー。
100%、過食です。

でも実際。
中国からパキスタンへの、アジアの麦作地帯では、これに近い食生活です。

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貧しい国々です。
人々は、冬でも薄着で、朝から晩までよく働きます。
農業機械とかなければ、畑仕事も重労働です。

それは、過食した『オーバーカロリー』を、
強い労働と薄着で発散させる仕組み、とも云えるの。

昔の日本人も、よく働き、よく食べ、よく眠る。
「過食」と「発散」のバランスのとれた食生活でした。

そういう食生活の地域に、長寿が多い。

今、僕たちは便利な時代に生きています。
移動も、労働も、暮らしも、昔と比べものにならないくらい、楽ちん。
美味しいものも、いっぱい。
子供達もゲームばかりで、外に出て遊びません。


宮沢賢治は、食べ過ぎじゃなかった。
でも、今の僕たちに、玄米4合は、食べ過ぎなんです。


【関連する記事】
マクロビと進化論 1)進化の分かれ道
マクロビと進化論 2)給食とおしりと空腹論
マクロビと進化論 3)牛乳とマクロビオティック
マクロビと進化論 4)宮沢賢治の「一日ニ玄米四合ト」は食べ過ぎか?
マクロビと進化論 5)じゃがいもとマクロビオティック
マクロビと進化論 6)人間は何を食べるのが正しいのか?

【眼横鼻直 禅マクロビオティック】


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この記事へのコメント

1. Posted by Levi   January 30, 2011 12:47
帯津先生が米と大豆食品を組み合わせて食べる日本食は栄養的に理にかなっているとおっしゃっていました。
だから米と味噌なんでしょうね。

江戸時代って深川から日本橋まではひとっ走りだったんですよね。
今では地下鉄2駅ですが歩くなると結構な距離です。
飛脚も今では考えられない距離を一日に走った。
それは米をたっぷり食べていたからだと伝統食の復権で島田先生が書かれていました。

昨日のニュースで朱鷺がどじょうばかり食べていたのでビタミン不足になったと報じていました。
飼われているから好き嫌いが言えたのでしょうね。

今は何でも食べられるから恵まれていて、反面何を食べれば良いのか不安になりますよね。
だから、食べ方がたくさん出てくる、
私は旬のものを適量食べるのが一番だと思っています。
とか言いながら、花粉症に効くって食材を食べてパラドックスに陥っています。
2. Posted by taka   January 30, 2011 13:44
ああ成程!!
この件についてはずっと疑問でした。
現代でオーガニック玄米4合食べたら、エンゲル係数上がりすぎますね。
私も、主食が好きで好きで仕方無いんです。
いろんな食養生しましたが、主食を良しとしない方法は精神のバランスを崩しがちです。満たされないんです。
結果、過食に走りがち。。。。。

食べたら動く、基本ですがね。。。
3. Posted by 。   January 30, 2011 18:45
人が1日3食になったのは、
江戸時代も半ばを過ぎてから、
それも、上級武士だけで、
それが、一般的な風習となったのは、
明時期の徴兵制がきっかけだったと
聞いています。

1日2食の頃は、
起きてまず、働き、
朝食を取って、
休んでから、また働き、
夕食を取ったら、寝てしまう。
「親が死んでも、食休み」と、
言うんだそうですよ。

農家の方は、
4食も5食も取る場合があると
思ってたのですけど、
回数ではないのですね。

賢治の生活は、農民と共にありました。
農民よりも、農民らしくあろうとして、
無理をし過ぎてしまったのでしょうか?
4. Posted by papa   January 30, 2011 23:44
こんばんは、Leviさん。

江戸時代、農耕機械なんて無かったし、
移動は基本、徒歩です。
今から見れば想像も出来ないくらい、大変。

運動量も桁違いだったと思うのね。

>今は何でも食べられるから恵まれていて、
 反面何を食べれば良いのか不安になりますよね。
 だから、食べ方がたくさん出てくる。

そうですね。
食に関する問題点て、だいたいそこにあるのだと感じます。

理想的な食料って云われる、穀物ですが、
それで完璧な食料と考えるのは、違うのだと思うのです。
その前提として、過食と発散の組み合わせがあったのね。

万能薬ではないのです。
毒でもない。

それ知らないと、玄米食べるだけの健康法か、
信仰になってしまいますものね。
5. Posted by papa   January 31, 2011 01:47
こんばんは、takaさん。

この記事書くのに、5回も書き直しちゃった。
難しい話にならないように、してみました。

でも、本当に書きたいのは次なんです。
今までのは、その前振りみたいなものですから。
6. Posted by papa   February 01, 2011 10:27
もさん。

結果として、現代でどのような食事が最適であるかと考えてみました。

栄養学的には。
穀物を主食に、足りないリジンを大豆と少量の魚介類で補い、
欠乏しやすいエイコサペンタエン酸やビタミンB12を、
動物性食品で定期的に補完する。

食べ方として。
動物性は少なめに、食べ物は偏り無く。
食事法にあまり固執せず、みんなと楽しく食事をすること。
良く噛むこと。

基本、粗食に、たまにはハレの日を楽しむ。
断食などの飢餓状態を定期的に設定する。
旬のもの、その土地で採れたものを食べる。
自然であることを基準に選ぶ。
よく働き、よく食べ、よく眠る。


結局、それはマクロビオティックのごはんに、
近いものになっちゃうんですよね。

でも、ここからもう一歩踏み込んでみたいと思うのです。
7. Posted by 。   February 01, 2011 14:22
高校の時に仲の良かった友人が、
今、先生をしていて、
不登校児童のクラスを
受け持っているのですけど、
寝て、起きて、ご飯を食べて、っていう、
生きていれば当たり前のことが、
できないのですって。

お風呂も、着替えもしない、
顔も、歯もみがかない。
引きこもりかというと、そうではなくて、
ゲームセンターや、釣りには出かけるの。
何を食べるか以前の話なのよ。

保護者と話すと、
「うちは、子供の自主性に任せてますから。」
って、言うんですって。
そんなんで、
学校なんて、来れないよねって、
言ってました。

・・・で、
市の教育委員会からの依頼で、
不登校問題連絡協議会ってとこで、
身体と心と食について、お話させていただく
ことになりました。

とりあえず、そこの市長さんとはまだ、
喧嘩してませんの。(*^_^*)

さてさて、
おばあちゃんの話が、役に立つかしらねぇ。
8. Posted by goodtime-masuho   February 01, 2011 22:33
>おばあちゃんの話が、役に立つかしらねぇ。

亀の甲より年の功 !!(^0^)!!/
9. Posted by アタラカ   February 01, 2011 22:48

最近の主人との会話は、専ら予防医学の大切さについてです。
現場で働く主人の話では、発症してから治療、投薬は受けても、病を生んだ食を含めた生活を変えられる人は少ないようです。でも、薬で症状を抑えたって、根本を変えなければなにが変わるでしょう。

自らの生きるリズムを大切にし、パパさんの仰る様な食生活を実践すれば、確実に病気になる人が減ります。

結果的に膨れ上がる医療費は下がり、国内自給率も上がり、食糧難対策にもなり、CO2排出量削減、と、良い事が沢山ですね。
10. Posted by papa   February 03, 2011 01:47
僕も、温泉は好きだけど、お風呂はあんまり苦手。
ばぁーっと入って、とっとと出る感じ。
僕も、学校行ってたけど、授業出ないこと多かったし。
子供の自主性という話も分かります。

でも、自由には、責任が伴うと云うこと。
それをちゃんと私たちが教えているかどうか・・
じゃないか思います。

>とりあえず、そこの市長さんとはまだ、
喧嘩してませんの。(*^_^*)

そのうち、ショッカーにスカウトされちゃいますよ。
11. Posted by papa   February 03, 2011 01:48
>亀の甲より年の功 !!(^0^)!!/

素早いフォロー。
なんでしょう、この連携の良さは。
12. Posted by papa   February 03, 2011 01:51
>治療、投薬は受けても、
 病を生んだ食を含めた生活を変えられる人は少ないようです。

国民健康保険制度。
無くしちゃえば、予防医学に関心を向けざる得なく
なると思うんだけど。

ちょっと乱暴なアイデアでしょうか。
13. Posted by オラフ   February 05, 2011 21:41
はじめまして。自身の病気がきっかけでマクロビを知り、実践し、その後ナチュラルハイジーン、ローフード、今は、ローフード&玄米菜食の食生活をしている30代女子です。
私、玄米を1回の食事で4合食べるときがあります。過食衝動が出たときです。1日じゃなくて1回の食事で、です。
ローフード100%の食事をしていて体重30キロ代になった頃から、ひどい過食が始まり今も悩まされています。
過食のスイッチが入ったら、日頃食べない動物性食品や乳製品、スナック菓子、白砂糖や添加物たっぷりのコンビニスイーツやアイス、菓子パン、クッキー、チョコ等もお腹がひちきれそうになるまで食べてしまい、その後ものすごい自己嫌悪や自己否定感になります。
過食症って、過食衝動ってなぜおこるんでしょうか?治せる、治る方法ってありますか?「食べるものや食べられることに感謝すること」ってわかってますが、過食してしまうと、その時は忘れてしまいます。
はじめまして。で、こんな質問すみません。今までのpapaさんの記事を拝見させて頂いて、何かヒントを頂けたら・・・。と厚かましく思いましてコメントさせて頂きました。
14. Posted by papa   February 07, 2011 01:23
オラフさん。
とても辛かったでしょうね。

辛いとき、苦しいとき、感謝の気持ちが大切だと分かっていても、
それを持てないときがあります。
それは、どんな人もです。

心の病は、それで苦しんだ人にしか、理解出来ないもの思います。
どうすればよいと、僕は無責任にお答えすることが出来ません。
過食症を治癒した経験がないからです。

ただ、ひとつ思うのは。
問題となる症状へのケアや、ストレスへの対応も、必要ですが、
表面的なものに過ぎないと思います。

精神的な問題を解決するためには、
より自身の内面、心の根の深い部分へ向かい合う必要が
あるように、僕は考えています。
原因は、自分の中にあります。
外にはありません。

自己嫌悪と自己否定は、自分の目を答から遠ざけてしまいます。

自らの本質的な成長のために、
手に入れなければいけない『鍵』のようなものがあります。
ネガティブな事象は、それを気づかせるために起きている・・
そういう考え方もあります。

つまり、無意識に『自分で自分の為に必要なこと』を起こしている。
必要があって、あなたが起こしたことです。
だからこのことで、自分や他人を裁く必要性がありません。

ただ、その鍵を見つければ良いだけだと思うのです。
15. Posted by オラフ   February 07, 2011 08:18
papaさんお忙しい中、はじめまして&重いコメントにお返事下さいましてありがとうございました。
何度も何度も読み返しました。心にしっくり馴染む言葉でした。
>無意識に『自分で自分の為に必要なこと』を起こしている。必要があって、あなたが起こしたこと
↑そうですよね。今まで自分を否定したり嫌悪しても、何もいいこと、ハッピーなことはうまれませんでした。
「鍵」。正直、今のわたしには「その鍵って?何よ?どう見つければ・・・?」と途方に暮れる感もありますが、今の辛い状況を「まずは受け入れてみよう」という思いがpapaさんの、このお返事を読んでうまれました。ありがとうございます。
厚かましくも、思いきってコメントさせていただいて良かったです。
16. Posted by fujitamanegi   February 07, 2011 08:55
ポチを間違って?papaさんの前のブログにアクセスしました。
「最後にハッピーエンドになることが必ずしも幸せとは限らない」というようなお言葉が、ありました。
大いなる視点で全体を見通して、幸せであったといえるような。そんな生き方がしたいと思いましたが。
現実の私は極々小さな度量しか持ち合わせておらず。目先のことに苦しんだり泣いたりしてばかりで。そして小さな幸せや喜びを探し求めることを止められずにいます。
ハッピーでもアンハッピーでも、今この時を生きることが一番だなぁ、と。

本文と関係のない話になりますが・・・。それに何だかコメントにもなってませんね。ごめんなさい。
17. Posted by papa   February 08, 2011 23:43
オラフさん、こんばんは。

私は、すぐに落ち込む性格で、
“嫌なこと”をいつまでも引きずるタイプでした。

思い出してみると、落ち込んだり、元気をなくすときは、
肩肘を張って生きていた気がします。

『あの人は、いい人だ。 あの人は頼りになる人だ。 
 あの人はやさしい人だ。 あの人は立派な人だ。』

このように他人から言われたいと思う気持ちが強く、
嫌なことも『NO』と言わず、自分を押し殺してやっていました。
完璧かつ背伸びした人間になろうと演じるので、常に緊張した状態になっている。

しかし、無理な背伸びを長く続けていると、ボロがでます。 
クタクタに疲れます。

やがて、すべてがうまく回らず、
『僕は、なんてダメ人間なんだろう…』と落ち込みました。

でもね、人生は一度きりですもの。
好きなように生きれば良いのだと思うんです。
ダメな自分でも、それで良しとする。
諦めではありません、受け入れる云うことだと思います。

人は、自分を責めたり、
自分をダメ人間扱いしているときに、元気がなくなります。

自分は、自分を責めるのではなく、
自分の味方にならなければならない思います。

自分のこと話していて、関係ない方に行きました。
また、僕も悩んで生きてきたんですよ。

鍵は抽象的な言い回しですが、
気づくのは難しいことではないと思うの。

部屋の片付けをして、日々のごはんを作り、
出会う人にありがとう云う毎日に暮らせば、
自然になりたいあなたになると思うんです。

そして同時に、これは僕自身が気づかなければならないこと。
18. Posted by papa   February 08, 2011 23:51
>「最後にハッピーエンドになることが必ずしも幸せとは限らない」

それちょっと違います。
ハッピーエンドは、やっぱり幸せですもの。
ハッピーエンドを目指したい云う気持ちはあります。

でも、目的地に着くことだけが旅の目的ではありません。

電車でみんなとUNOして、
バスで景色を楽しんで、
途中のおそば屋さんでごはんを食べて?

それで、目的地にたどり着けなかったとしても、
旅の思い出が僕たちを幸せにするのだと思うの。

僕たちは、目的地に急ぐためについ足を速めてしまう。

泣いたり笑ったり。
その時間の全てが、僕たちの宝物ですもの。
のんびり、歩いていきたい。

ありふれた、毎日の、日々のあわ。
それが、僕は幸せの形なんだと思うのね。

fujitamaさん。
あなたはあなたの味方。
そして、僕はいつでも、あなたの味方ですよん。
19. Posted by オラフ   February 09, 2011 14:54
papaさん、本当にありがたです。ありがとうございます。
papaさんの今までの記事(以前のブログも含めて)を読んでいると、たくさんの気づきを頂けます。
今まで、自分で自分を苦しめてた感じに気づけたり、生きることは辛いことじゃないんだ。と楽になれます。

>部屋の片付けをして、日々のごはんを作り、
出会う人にありがとう云う毎日に暮らせば、
自然になりたいあなたになると思うんですよ。

↑なんだか温かい気持ちになれました。
20. Posted by papa   February 09, 2011 16:31
お返事を書きながら、自分のことを振り返りました。
僕にとって必要なことだったと思います。
コメントを下さることも、ご縁です。

あれ。
次の記事がなんか青紫のジャガイモの話で、すごく恐縮です。

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