February 09, 2011

マクロビと進化論 5)じゃがいもとマクロビオティック

じゃがいも、マクロビではなーんか悪者になっちゃう野菜なんですけど。
おらおらおらおら、「陰性」にしてやるぞ~~。

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この画像みせたら、子供が泣きました。
(食べ物で、遊んですいません。この後、美味しく頂きました)

「ナス、トマト、ジャガイモなどは「陰」の気が非常に強いので
 体のバランスを崩しやすいので避けた方が良い」というのが
彼らが嫌われものになる主な理由です。

自然に近い状態を是とするマクロビの考え方から云っても、
そもそも熱帯地方などが原産のそれらの野菜を
環境の違う日本で育て、食べることを良しとしないのですね。


ジャガイモ、ダメという理由はいろいろあるみたい。

【例えば、こんな感じに、云われています】

盛りだくさんですけど、一部、科学的根拠ないですよ?
そりゃ、ジャガイモ君もヤクザになります。


うーん。
ジャガイモが、陽性か陰性か?といわれると、
僕は、陰性だと思うの。

作られた土地が、熱帯とか寒冷地とか云うのは別にして、
ジャガイモはビタミンC(陰性)・カリウム(陰性)を非常に多く含む野菜です。
体に取り入れたとき陰性に働くと考えられます。

じゃあ、危険かといわれると、それは別問題。
ジャガイモを食用としてきた歴史から見ても、危険とする認識は間違いだと思う。


まず、「ジャガイモは熱帯原産だから良くない」
これは違います。

『熱帯原産』といわれますが、ジャガイモの原産地「アンデス」は、
4000m以上の山の上です。

富士山より標高の高い「熱帯高地」なんですね。
昼夜の寒暖の差が大きく、昼は暖かく、夜は寒い。
ジャガイモはそういった『高地』が原産の植物で、
冷涼な気候を好み、生育適温は10~23度。
学術的には、熱帯原産とは云えません。

アンデスでは、その寒暖の差を利用して、
「チューニョ」という乾燥ジャガイモを作ります。

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これがチューニョ。
白いのは、白チューニョ。
チューニョと云えば、会津のタンボ・ロッジですね。
料理長は、アンデスをとても良く研究されている方です。

ジャガイモは、確かに陰性です。
でも、食べ方があるのです。

それに熱帯産がダメと云ったら、お米も熱帯原産ですし。
品種改良の進んだ野菜は、すでに原種とは違うその土地に根ざしたものに
なっていると思うのね。

輸入したバナナを食べ過ぎるのとは、それは根本的に違います。


もうひとつ、「征服したスペイン人が現地のインディオを弱らせるために無理やり食べさせた」
これ、違いすぎます。

アンデスでは、スペイン人が攻めてくる1000年以上前の紀元前5世紀ごろから、
栽培が始まったといわれます。
主食として、「アンデス」という文明を支えたのは、ジャガイモなのです。

米も食べないで、ジャガイモばっかりで生きていけるのって、思うでしょう?

実は、必須アミノ酸である『リジン』が決定的に欠けてしまう穀物に対し、
ジャガイモは、ヒトの要求する必須アミノ酸の理想的なバランスを持ちます。
ジャガイモで、人は生きていけるのです。

しかし、穀物はその点で不利です。
人間が必要なアミノ酸のうち「リジン」が極端に少ない。
特に麦は、リジンが少ないの。

麦を食べる文化は、2つの選択をしなければなりませんでした。

1)麦だけたくさん食べて、リジンを供給する
2)肉や卵を食べて、リジンを供給する

(1)は、アジアの人たちに多い。
大量の麦を食べて、よく働き、余分なエネルギーを発散させる。
過食と発散の組み合わせ。

(2)は、ヨーロッパの文化。
畜産による肉食で、動物性のリジンを摂り、
麦の不足する分を賄う。

今の「菜食」と「肉食」は、そういう分岐点がありました。
どっちが正しいとか、無いのね。

ただ、畜産って、効率の悪い農業なんです。
肉を作るのに、家畜も穀物を食べるでしょ。

北ヨーロッパのような気候の厳しいところ。
例えば、アイルランドでは、コストの高い「畜産」は困難でした。
貧しい人は飢えることが多かった。
だから人口も増えなかったの。

16世紀に、スペイン人がジャガイモを持ち帰って、アイルランドでも栽培が始まりました。
それからわずか200年で、人口は7倍の700万人と激増します。
激増した人口は、当時、イギリスを中心に始まった『産業革命』を大きく進めます。

アミノ酸をバランス良く含む「ジャガイモ」を主食として切り替えることで、
畜産に頼らなくても、生きていけるようになったの。

人口の増加は、ジャガイモが母親と新生児の健康状態を画期的に改善したことを物語ります。

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アンデスの神話にありますね。
ジャガイモは、神様が人間にくれた神聖な食べ物のひとつです。
(持ってきたのは、赤い三角頭の人)

ジャガイモに限らず、みんな食べ物はそういう神話とともに、
大切にされてきたと思います。

今のマクロビオティックでは、食べ物を陰陽で選ぶことで、
時に、栄養素で食べ物を選ぶことと同じになってしまうと感じてしまう。
ひとつの考え方で、他の文化を否定してはいけないと思うの。

タンボロッジの料理長に、現地のジャガイモの食べ方を見て回られた話を聴いたことがあります。

現地の人は、調理して時間が経った、『冷えジャガイモ料理』を口にしません。
また、凍みジャガイモにして乾燥させたチューニョは、
陽性に転化していて、体を温めます。

アンデスの伝統的な食べ方は、自然に「陰・陽」のバランスが整っています。
それがその国のマクロビオティックになっていくのね。

幅広い視点で、いろんな文化から、いろんな昔の知恵から、学んで、
未来のマクロビオティックになるものが、生まれていけば良いなと思うんです。





【タンボロッジの料理長がまとめられた記事】
(現地の食べ方を学ぶための貴重な資料です。ぜひご一読下さい)

【ジャガイモの食べ方(1)】
【ジャガイモの食べ方(2)】
【ジャガイモの食べ方(3)】
【ジャガイモの食べ方(4)】

【関連する記事】
【関連する記事】
マクロビと進化論 1)進化の分かれ道
マクロビと進化論 2)給食とおしりと空腹論
マクロビと進化論 3)牛乳とマクロビオティック
マクロビと進化論 4)宮沢賢治の「一日ニ玄米四合ト」は食べ過ぎか?
マクロビと進化論 5)じゃがいもとマクロビオティック
マクロビと進化論 6)人間は何を食べるのが正しいのか?

【眼横鼻直 禅マクロビオティック】


(マクロビパパの奮闘記より↓)

【チューニョを作ろう】
【いろんな芋でチューニョは作れるか?(前編)】
【いろんな芋でチューニョは作れるか?(後編)】


bluetailhappiness at 10:28│Comments(17)TrackBack(0)clip!マクロビと進化論 

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この記事へのコメント

1. Posted by Levi   February 09, 2011 17:16
こんにちは

写真の青いジャガイモは本当に青いのですか?
それともお芋か写真に手を加えたのかしら?
それにしても怖い。

ですよね。
南米原産というと熱帯の植物だと思われますが、アンデスは寒いし、南米だって先端に行くと南極に近いから寒いんですよね。
アフリカもしかり。

チュニーニョを作って陽性にするのってすごいですよね。
でも、私は手っ取り早く味噌煮にするのが食べ方としても好きです。
2. Posted by papa   February 09, 2011 17:44
ノーザンシャトーという紫ジャガイモです。
何度撮っても、ああいう色になっちゃうんですよ。
なんか特殊な電波が出ているのかもしれません。
怖いですね。

あれ見て、誰も話読まなくなっちゃうかもしれないから、
やっぱり外そうかな。
タンボロッジの料理長しか、分からないギャグだし。

ジャガイモ、日本でも凍み芋にします。
長野の方は、チューニョのようなものを作って、粉にして食べていたようですね。

山梨でも「せいだのたまじ」という小さな皮付きのジャガイモを、味噌で煮込んだ料理があります。
長寿食で有名な、棡原(ゆずりはら)地方の郷土料理ですね。

江戸時代に山梨ではひどい飢饉がありました。
食べ物がなくて、たくさんの人が死んでしまいます。

甲斐(山梨県)の代官だった中井清太夫(なかいせいだゆう)は、苦心して、九州からジャガイモを取り寄せ、
これを広く栽培させることで、この飢饉を乗り切りました。

それ以降、山梨では、ジャガイモのことを
「せいだ」と呼ぶようになったのだとか。

そして、小粒のジャガイモのことは「たまじ」と
呼んでいたことから、「せいだのたまじ」という料理名が
誕生したといわれます。

ジャガイモ、日本と意外とゆかりある野菜なんですね。
3. Posted by みっこ   February 09, 2011 18:46
パパさん、ご無沙汰しています。
こふく亭に伺った時に、料理長さんのチューニョ、いただきましたね。
今まで食べた事のない食感でした。
先日、某岡部先生の講座に出席して、先生から虚実どちらかというと”実証”といわれました。

今まで東洋医学の専門家に望診してもらっても虚証か中と言われる事が多かったので、びっくり。
食事、ちょっと陰よりに振ってみようと考えてたところでした。

ジャガイモ、我が家では夫が料理してくれる時に煮っ転がしとかで登場します。
私の料理にも登場回数増えるかも。
チューニョ作ってみようかしら。できるかな。

あ、それとアンデスでは、日本のように未熟なトウモロコシは食べず完熟したものを食べると、何かの本で読んだ事があるんですが、ジャガイモとトウモロコシの食文化圏は違うのかしら?
4. Posted by papa   February 09, 2011 20:38
みっこさん、こんばんは。

僕もチューニョにチャレンジしたことがあるのですが、なかなか美味しい調理法が見つけられません。
実際、アンデスの料理を見に行きたいなぁ、思います。

>どちらかというと”実証”といわれました。

虚実と実証に詳しくないのですが、体質の陰陽と
云うことでしょうか。
僕も今度「せいだのたまじ」に挑戦してみたい思うんですよ。

>ジャガイモとトウモロコシの食文化圏は違うのかしら?

乾燥していたものを食べるかどうかは不確かなのですけど。

主食は基本ジャガイモ・サツマイモなどの芋類。
それに豆やキヌア、水辺に近い土地では魚介類も食べていたようです。

でも、トウモロコシは、使われ方が違います。

主に大地の神様に捧げたり、
チチャというお酒を造る原料に使われていたようです。

神に捧げられる生贄は、殺される直前に
トウモロコシの摂取量が増える傾向があります。
古代アンデス文明でトウモロコシは、
宗教的、政治的食べ物だったみたいですね。
5. Posted by hirokototomi1   February 10, 2011 07:38
こんにちは。
ちょうど、余ったじゃがいもをどうしようかと考えていたのです。スープにしたあとでこの記事、読みました。
郷土料理、昔の知恵ってすごい力を秘めているんですねえ。今度じゃがいも買ったときはもう少し調べて手探りで、やってみようと思いました。
田舎暮らしでもない、マンション暮らしのわたしは何をどう、どれくらい、食べるのがいいのか、何が心地よいのか、漂泊しているようです。
昔の知恵、いろいろな国、村の生き方を知って刺激を受けて、自分の食べ方、生き方を見つけていきたいものです。
文章、心にとめておきたくてお借りしました。
6. Posted by オラフ   February 10, 2011 12:40
>あれ。
次の記事がなんか青紫のジャガイモの話で、すごく恐縮です。

いいえ~いいえ~papaさんのものの見方?というか・・・。視点が好きですから~どんな記事でも読みたくなります~。

>ひとつの考え方で、他の文化を否定してはいけないと思うの。

文化。ではないですけど・・・。マクロビにしてもローフードにしても私の場合「これは○○だから食べたらダメ」と自分で自分を縛る傾向にあるので、狭い考えや、体験や経験してない聞きかじりみたいな情報で否定したり決め付けたりは損だなぁ。と思いました。
7. Posted by papa   February 10, 2011 16:41
hirokototomi1さん、こんばんは。

情報、盛り込みすぎて、おばあちゃんの蘊蓄袋のようになりました。

>昔の知恵、いろいろな国、村の生き方を知って刺激を受けて、自分の食べ方、生き方を見つけていきたいものです。

新しいお店を作ったら、郷土料理やおばあちゃんの味も研究していきたいと思います。
いろいろあわせって行く中に、自分らしい料理が見つけられればと思います。
8. Posted by papa   February 10, 2011 16:44
オラフさん、こんばんは。

青紫だったでしょ。
進化論も、次で最終話です。

いやあ。
寒くて、パソコンの前に座るのに覚悟がいるんですよね。
9. Posted by goodtime-masuho   February 10, 2011 19:08
BLUEPOTATO HAPINESS!!

>寒くて、パソコンの前に座るのに覚悟がいるんですよね。

そっか、それで青紫!!
山田君!座布団一枚!!
10. Posted by タンボロッジの料理長   February 11, 2011 11:05
おお~~~!!
素晴らしい記事
さぞかし「じゃが芋」君たちも喜んでいることでしょう。
でも、「青いじゃが芋」、すごい迫力ですね。
なんか食べる気がしない・・・・

ところで「みっこ」さん、トウモロコシの疑問については、http://tambo1.sblo.jp/article/36827940.html
を見てね。
「未熟」なものを大量に食べると、本当に病気になってしまうんですよ。
11. Posted by papa   February 11, 2011 18:15
>BLUEPOTATO HAPINESS!!

何でしょう、そのコメントの達観ぶりはと思うんですよ(笑)。
12. Posted by papa   February 11, 2011 18:21
タンボロッジの料理長、トウモロコシの記事もすごいですね。
っていうか、これ読んでいたなぁ。

改めて読んで、伝統的な食べ方の合理性は素晴らしいと感じました。

「マクロビと進化論」のシリーズですが。
考え方は、マクロビのそれではない部分が多くなってしまいました。
このブログを読む人で、それを良く思わない人がいるかもしれません。
うーん。

最後の記事は、
マクロビと進化論 6)人間は何を食べるのが正しいのか?
です。
13. Posted by Levi   February 11, 2011 21:20
こんにちは

なるほど、紫のジャガイモだったんですね。
撮影はデジカメの色調節をオートにされました?
オートで撮ると光の加減で青くなります。
ジャガイモが原因じゃないと思います。

なるほど、せいだのたまじの名前の由来が分かりました。
ありががとうございます。
せいだのたまじは時間がかかりますが、ジャガイモが美味しくなるので好きです。
でも、普段は簡単な味噌煮込みにしちゃいます。
14. Posted by papa   February 11, 2011 23:21
最近の画像は、携帯で撮っています。
一眼レフ、どこに置いたか分からなくなっちゃって。
(大問題)

せいだのたまじ、薪ストーブとかでクツクツ煮るのが良いんでしょうね〜。欲しいな、薪ストーブ。
15. Posted by みっこ   February 13, 2011 11:07
papaさん、すみません、このスペースお借りします。
料理長さん、ありがとうございます。今、書いてくださっている事に気がつきました。
早速拝見に参ります。
16. Posted by papa   February 14, 2011 00:22
やっぱり、ジャガイモと云えば、料理長でしょう。うん。
17. Posted by タンボロッジの料理長   February 15, 2011 17:03
いやいや、じゃが芋と言えばやはり「アンデス」です。
「アンデスの知恵なくしてタンボ・ロッジなし」ですからねえ。
アンデスの先住民のインディオに感謝です。

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