April 11, 2011

シシュフォスの石積み

築50年の古民家を改造して、お店とか作る選択肢。
そりゃ、大変かなとは思っていましたけど。

この古い民家の裏側は、高台になっています。
そこに降った雨水が、なだらかな斜面を乗り越えて、
全て民家側に流れ込んでくるという素敵な状態であることが判明。

こりゃ「ブルーテイル・ハピネス」の方にも、『+奮闘記』つけなきゃ駄目かな。

斜面の土を削り、上にもり立てて、
水が、反対側に流れるよう傾斜をつけた。

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こういう状態。
でも、その代償に、斜面の土はボロボロ。

土砂が、どんどん崩れてきます。
さて、どうするか。


友人が、「石積みなんて良いんじゃない?」と、提案します。

へぇー、石積みかぁ。
石積みって、良くお城とか、田んぼとかにあるやつでしょう。
ちょっと苔が生えたら、古い民家にぴったりかもしれません。

うん、それ採用。行ってみましょう!

(「ホントにやるとは思わなかった」と後で友人の告白)

P4110107

幸い古民家の床下は、石の宝庫ですから。
石はゴロゴロ、困りません。

ひととおり「石積み」の知識を吸収して・・と。

images

セメントを使わない、大きな石と砕石(砕いた小さな石)だけを使う石積みを、『空積み』。
自然石そのままの形で積み上げることを、『野積み』。

積み方にも、ルールがあるの。

・・・なるほどね。
試行錯誤しながら、積んでみた。


石積みは、簡単に見えて奥が深い、『職人の技』なのね。
「石積み道」のようなものがある。

P4060064

良く云えば、自然のパズル。
悪く云えば、なんかの罰ゲーム。

重さ数十キロの石を、ゴロゴロと運んで、積む。
でも、石が繋ぎ合わなければ、外して、またゴロゴロ。
(普通はクレーン使います)

正直、とてもしんどい。
なんでこんなこと始めちゃったんだろうと、後悔する。

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数時間、経過。
完成が果てしなく遠い。


ギリシア神話に「シシュフォスの岩」という話があります。

Sisyphus

罪を犯したコリントスの王シシュフォスに、
神様は「大きな岩を山頂まで押し上げる」という罰を与えました。

シシュフォスが、大岩を山頂まで押し上げると、
岩は転がって、落ちてしまいます。

シシュフォスは山を下り、再び岩を押し上げますが、
岩は何度も転がり落ちる。

未来永劫、いつまでもそれが繰り返される。
「永遠の意味のない労苦」
それが神様の与えた罰です。

僕の石積みは罰じゃないけど。


誰もが「人生に意味なんて無いんじゃないか」
と、考えてしまうときがあると思う。

それはあながち、間違いではない。

努力することは、必ずしも実を結ばない。
一生懸命、頑張っていても、明日、死んでしまう人がいる。
創り上げたものは、過去に押し流され、すべて壊れてしまう。

そして、この道の先に、なにも見つからないかもしれないから。

どうにかしたいと思っても、
どうにもならないことが、この世界には多すぎる。


それでも、シシュフォスは、何度も山を下ります。
それがなんの意味を持たないと分かっていても、岩を押し上げることをやめません。

僕はこの神話が好きです。

この世界が回り続けて、僕たちを生かしてくれるから、
何度でも、その運命を受け止めて、まっすぐ生きていくことも出来ると思うの。

それにね。

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僕たちは、シシュフォスじゃない。
これは自分で選んだことだから。


築50年の古民家を改造して、お店とか作る選択肢も。
トラブル多くて、結構、楽しんでいます。


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この記事へのコメント

1. Posted by goodtime-masuho   April 12, 2011 11:01
ありゃりゃ...

で、店はいつオープンなの?
ロケットストーブのワークショップはどうするの?

シシュフォスに山頂から岩が転がらないようにする方法を教えてあげたらどうかな?

昔から数ある職人の中でも「石工」は
一番日当が高いの。
それは仕事がきついしとても技術と経験の
いる仕事だから。

頑張ってね...。
腰、大丈夫?
2. Posted by ゆっこ   April 12, 2011 15:27
パパさん、お疲れ様です。私の地元には武者返しという名の、石垣で有名なお城があります。昔の人は巧妙に石を積み上げていて、本当に凄いと思います。パパさんの困難に立ち向かう姿も影ながら応援しています!
3. Posted by izunokakasi   April 12, 2011 20:41
一時造園業に在席経験有り。(実技経験無)
これは、石積と言うより、石張りに近いですね。自然石の石張り単価は、石積より高かったです。大変ですね。決意した事に感動です。
4. Posted by mariposa   April 12, 2011 21:02
papaさん、楽しそー。
それだけ、上等な石がゴロゴロあると言うことは、石積みをする条件がそろっていたと言うことですね(^0^)
うちの旦那も石が大好きだから、やっぱり天然のパズルだって言ってますよ。
papaなら緻密は石積みが出来ること間違いなし!
ゆっくり楽しんで下さーい。
出来上がり楽しみにしてますねー。
5. Posted by ryou   April 13, 2011 19:04
こんにちは。
我が家も数年前に石垣を積みました。
未だに崩れておりませんので、積み方は大丈夫だったようです。
庭先にはまだまだ石がありますがそれ以降取っ付けないで居ります。

がんばってください。
6. Posted by わたなべ   April 13, 2011 19:28
大内正伸さんの「山で暮らす愉しみと基本技術」という本、読みました? ご存知ならいいのですが、石積みのこと、素晴らしくよく書かれています。もしまだ見てなければ、ぜひ。ただ、あたしが師匠に教わった土極めの空積みとは、構造がちょっと違う(もっと加重を手前にかける)のですが……、でも石積みはとても深くて面白いです。kuriのkatuさんから祝島の石積み(空積み)の写真を借りました。良かったがご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/musikusanouen/20110401/1301624327
奥に小さく見える小屋、これ実は二階建ての小屋なのです。
7. Posted by papa   April 14, 2011 17:04
こんにちは、師匠。

ロケットストーブのワークショップは、5月28日〜29日の土日で、計画中です。
リターン方式の最終的な設計をしています。

ドラム缶コンポストも、諸処の仕事の後に考えていますし、非電化冷蔵庫の設計もしています。

個人的な性格で、ひとつのことに集中するのが好きです。
今は、石積み。

やるからには、しっかりやらせて頂きます。
8. Posted by papa   April 14, 2011 17:06
ゆっこさん、こんにちは。

山梨の甲府にも、武田信玄の石垣が立派なお城があります。
河川や畑、斜面、いろいろなところに石積みがあって、名人が作られたものも、点在しています。

よーく見学して、すこしでも技術を学べたらと思っています。
9. Posted by papa   April 14, 2011 17:08
案山子さん。
あれ、材料が並べてあるの。

全部の石の面が見えないと、パズルにならなくって。
野暮用が多くて、今週はなかなか石積みが、はかどりません。

一日、みっちりやりたいなぁ。
10. Posted by papa   April 14, 2011 17:12
mariposaさん、こんにちは。

「石積みの会」会員募集中です。

あれ、石積みは楽しいですね。
奥が深いです。

最近、石積みの石を選んでいる夢を見ますよ。

最初の頃、積んだ石が、どうにも気に入らなくて、
壊してもう一回やり直したい衝動に駆られるときがありますが、
大変なので、自粛しています。
11. Posted by papa   April 14, 2011 17:14
ryouさん、ありがとうございます。

最近、腕が太くなってきました。
この仕事が、終わる頃には、たぶんムキムキ筋肉です。
12. Posted by papa   April 14, 2011 17:17
わたなべさん。

「山で暮らす愉しみと基本技術」の本は、白州のMさんに借りました。素晴らしい本です。

もう、パラパラ数ページ読んだだけで、
すぐ『この本は、買い!』だと思いました。

いろいろ石積みの本に目を通しましたが、この本が一番分かりやすく、ためになりました。

次の石積み記事で、紹介していこう思います。
よかったら、遊びに来て下さいね。
13. Posted by 。   April 14, 2011 18:57
フリーメーソンリー!
日本だと、
さしずめ、穴太(あのう)衆かしら?笑

私ね、
石垣いちごって、いいなと思うの。
美味しそうでしょ?
石垣いちご。

問題は、
確か、毎年、積み替えるのよね、あの石垣。
防災にもなりにくそうだし。

あら、いけない!
ねぎらいと、エールを送るはずだったんでした。

パパ、がんば!o(^-^)o

でも、捨てがたいわねぇ・・・
いちご狩りもできる、ごはん屋さん。ウフフ
14. Posted by papa   April 14, 2011 21:23
>私ね、
 石垣いちごって、いいなと思うの。
 美味しそうでしょ?
 石垣いちご。

それ、新しいリクエストですか(笑)。
石垣でイチゴ作って、クール便で送れと?
15. Posted by sara-sara   April 15, 2011 07:32
はじめまして。
papaさん、ずっと前から拝見させていただいていました。
石積みの話で初コメントすることになるとは、
自分でもびっくりです。
実は我が家の崖も、最初主人のおじいちゃんが一人で、積み上げた物でした。
グルリと家を囲む石積みです。
多分30年以上そのままで、家を支えてくれたらしいです。
その後、家の周りの木の根が膨れてきて、
崖が危ないから作りなおすようにと、市から指示がありました。排水管を作る必要があるとか…。
おじいちゃん亡き時に、主人のお母さんは長い長いローンを組んで、
崖の補修を行い今に至っています。
おじいちゃん、もと船乗りさん。
なんでも自分で作っちゃったらしいです。
今それを実行していらっしゃる方がいる。
それって何だか元気が出ます。素敵な風景が生まれますように。
16. Posted by papa   April 15, 2011 08:31
はじめまして。
おじいちゃんの話、元気を頂きました。
ずっと長い間、家を守る、立派な石垣を作ります。

sara-saraさん、ありがと。
石垣でイチゴが出来たら、あなたにも送ります。
17. Posted by goodtime-masuho   April 15, 2011 12:20
>「山で暮らす愉しみと基本技術」の本は、
>白州のMさんに借りました。素晴らしい本です。

灯台もと暗しですね。
この本、木の国やにずっと前からありました。
18. Posted by papa   April 15, 2011 16:21
>この本、木の国やにずっと前からありました。

1200円で買います^^。
19. Posted by goodtime-masuho   April 22, 2011 10:03
>1200円で買います^^。

残念、木の国やのは閲覧用です。
20. Posted by papa   April 22, 2011 13:53
アマゾンに発注いたしました。
この本は、必携だと思います。

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