July 10, 2011

ロケットストーブ 3) スコリアと配管

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この黒い砕石が、【スコリア】。

富士山の裾野でとれる『火山性の岩』を細かく砕いたもので、
それを砂にしたものは、富士砂とも呼ばれ有名です。
ちょっとゴージャスな盆栽の表面を、黒くお化粧するアイテムなのね。

スコリアは、【黒曜石パーライト】のように空気をたくさん含み、水はけが良いため、ゴルフ場の芝の下の土壌改良に使われる資材です。


スコリア断熱


Ohanaのロケットストーブは、土間の「蓄熱コンクリート」に、熱風を送り込んで熱を蓄える「暖房システム」。

でも、蓄熱コンクリートが地面と接していると、せっかくの熱をどんどん吸われてしまいます。
通常は、スタイロフォーム(発泡スチロールのような資材)の断熱材を埋め込むようだけど、スタイロは、熱に弱く、蟻に食べられやすい。

そこで、コンクリートを打つときの砕石を、このスコリアを使えば良いんじゃないか、というのが今回の作戦です。




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スコリアを探すのにえらい苦労しました。
富士山の山麓で建材屋さんをやっている「池田産業」さん。

池田産業株式会社
静岡県御殿場市新橋290-1
0550-82-2099

25㎡を10cmで敷き詰めるのに、3㎡(リューべー)のスコリアが必要。
4トンダンプで、ドバーと来ます。

これを全部、手運び。


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「スコリア運びのワークショップ開催!」と行きたいところだけど、
ガッツで敷き詰めた。

スコリアがこんなに黒いのに、富士山が真っ黒にならないのが不思議。


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蓄熱ユニット内の配管には、スパイラルダクトを使います。
亜鉛綱板のものは、水に弱いけど、コンクリートに埋めてしまうから、良しとします。


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通常の煙突と違い、ダクトの同士接続にはオスメスがないの。
ダクト接続の数だけ「ニップル」が必要になります。

これを真ん中にはめて、アルミテープをぐるぐる。


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配管の接続部は、通常、ネジで留めるんだけど、今回はアルミテープで巻くだけ。
コンクリートに埋めてしまうから、これも良しとします。


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コンクリートには11cm~9cm埋まります。

配管は、GL(ground line:地上面)からの深さを正確に測ります。
キッチリカッチリが、大好きな性格なので。

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少し手前から勾配をつけて、奥の掃除口に灰が溜まるように工夫しています。

この部分は、コンクリートに埋まっちゃ困るので、
200パイの配管を工作して、穴を開けました。

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バイパスの配管が完成。

バイパスは3インチ(75パイ:直径75mm)で、2本。

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主配管7インチ(175パイ:直径175mm)を組み立てます。
ちょっと高めのところを走って、これが暖かいベンチシートになるのね。


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はい、完成。

バイパス式ロケットストーブの配管。
黒いスコリアに、銀の配管が映えます。


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燃焼テスト。
かなり「ロケット」するようになりました。

調子よいです。


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問題なのは、バイパスにほとんど熱風が行かないこと。

バイパスは、ベンチシートの主配管より細く、下にあります。
熱風がめんどくさがって、そっち行かないのね。

楽な方に行っちゃう。

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S字菅で上げてから、Y字菅で分岐させたけど、先に分岐させれば良かった。
ロケットストーブで配管を分岐させるときは、配管を並列させる(横に並べる)必要があるの。

そうしないと、楽な方へ、楽な方へと流れちゃう。
文句は言えない、人間も同じだから。

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そんなこともあろうかと、主配管にダンパー(空気調節弁)をつけて置いたんだよね。
主配管の流量を絞って、強制的にバイパスに熱風を送るの。

これで、床下も暖まる。

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結論から言うと、バイパス式という選択もあるけど、
無理して、バイパスを走らせなくても、良いかなと思うの。

配管が複雑になるし、その分、パーツも多くなる。
ストレートで、長いベンチシートを設けるか、リターン式で折り返すかする方が施工が簡単だもの。

仕方無い、僕、凝り性だから。


ロケットストーブ燃やしてみると、結構、面白いデータがとれます。
やっぱり理論と実践の両方が、大事だと思う。

研究して、より優れたストーブを完成させたいと思います。


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いよいよ、コンクリートの土間を打ちます。
そしたら、ちょっとはレストランに見えるかな。


すでに、料理人には見えないまっくろくろすけ。
これから、コンクリート打ちで汚れるから、良しとします。


【関連する記事】
ロケットストーブの原理 パーフェクトマニュアル
5分で分かるロケットストーブの原理<改訂版>
ロケットストーブ 1)ロケットストーブの設計
ロケットストーブ 2)蓄熱ユニットの設計
ロケットストーブ 3)スコリアと配管
ロケットストーブ 4)黄金の粘土
Simple Rocket Stove(ロケットストーブ1号)
ロケットストーブ 5)ロケットストーブの製作
ロケットストーブ 6)大型ロケットストーブの実用的燃焼法
ロケットストーブ 7)ロケットストーブの欠点



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この記事へのコメント

1. Posted by 。   July 10, 2011 12:02
あはは、
ずいぶんひょろ長いまっくろくろすけね?
暑い中、お疲れさま。
疲れてるなと思ったら、
休むことも大切ですよ。

予定はあくまでも予定ですもの。
くれぐれも、無理し過ぎないように、
お気を付け下さいね。(*^_^*)
2. Posted by papa   July 11, 2011 00:15
マニアックな記事、読んで下さって、えらいすいません。
また、長くなっちゃうんですよね。

一応、短くする努力はしました。

あのね、いつも、ありがとう。もさん。
3. Posted by AORINGO   July 11, 2011 02:38
この度は息子たちがお世話になりましたー。
おかげさまで静かな夜を過ごさせていただきました♪

しかしpapaさんて何やさんだったけ?
なんでもやさん?
専門的過ぎてわけわからんよー(笑)
でもお店作るの楽しそう♪
4. Posted by papa   July 11, 2011 07:48
>専門的過ぎてわけわからんよー

でしょう。

一番最初の記事は、配管の設置順番まで詳細に盛り込んだ長文でした。「200-200-150 Y字菅」とか、書いてありました。
読まないだろうなぁと、思って削ったの。

今、新しい配管のアイデアが浮かんで来ちゃって、困っています。
セメント打っちゃったからなぁ。

>おかげさまで静かな夜を過ごさせていただきました♪

また、どうぞ♪
5. Posted by やまの   July 11, 2011 20:38
すばらしい!
進んでますね!
とっても参考になりました。
6. Posted by papa   July 12, 2011 00:02
マニアックな部屋へようこそ、やまのさん。

熱風は、基本的に上を流れます。
主配管がダンパー全開の時は、熱風は全て主配管を流れます。

ダンパーを完全に締めると、仕方無いから下を流れるみたい。
でも、ロケットを弱めるのね。
配管が狭いから。

床下の2本は、3インチで4〜5本通しても良かったかもしれません。それなら、全面暖房が可能です。
上を流れるか、下を流れるかを、ひとつのダンパーでコントロール出来るの。

次、やるときは、そうしたいなぁ。
それが「バイパス式」の完成形だと思うの。

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