February 01, 2012

ぬかくど取扱説明書

植物が太陽エネルギーを使い、水と二酸化炭素から作り出す有機物を、
燃料とすることを「バイオマス燃料」と云います。

たとえば、木材とか?

そのなかでも、米作りをする家なら捨てるほどある『籾殻(もみがら)』って、
実はこれも素晴らしい『バイオマス燃料』だったりします。

DSCF5643

「ぬかくど」

『ぬかくど』の【ぬか】は、籾殻のこと。
稲の実の外側の皮。
皮を取り除くと玄米になる。

「ぬかくど」は、この籾殻を『バイオマス燃料』として、
ごはんを炊く道具なんです。



この道具の正式名称は、「国際竃(こくさいかまど)後期型」。

『籾殻かまど』と呼ばれる昔の道具で、
今は作ってる会社が無くなってしまって、基本デッドストック。
手に入りません。


キューポラ(鋳物を作るための溶鉱炉)の町(埼玉県川口市)に住んでた、小林英三さんが発明。

昭和20~30年代、戦後のものが不足していた時代に、
いくらでもある『籾殻』で煮炊き出来ちゃう「ぬかくど」は、
画期的な商品として、大ヒットしたのね。

農村を中心に普及したんだけど、
生活スタイルの変化にともない、あっさりと消えてなくなりました。
ガスで調理するのって、やっぱり便利だし。

僕が使っていた子は、
砂型鋳造法という古い方法で作られた最後の一台でした。
懐かしいなぁ。

籾殻かまどの特徴として。

P3050005

【1)燃料が「籾殻」であること】

あるところには、捨てるほどありますから、
燃料費はタダです。

そして、電気がいらない。
大震災でライフラインが止まろうが、そんなことお構いなしに、
ごはんが炊ける。

昭和のローテクって、素晴らしい。

8b060451

【2)「籾殻」が薫炭になること】

燃えた籾殻は、完全に灰にならず『炭化』してるでしょ。

ただ籾殻を燃やしてるのではなく、独特な2重の筒の構造で
籾殻をガス化させ、それを燃やしているんですね。

この燃えかすは、『籾殻薫炭(もみがらくんたん)』といい、
土壌改良材として、畑にリサイクル出来ます。


P3190033

【3)鋳物(いもの)製であること】

鋳物製のぬかくどは、量産性に優れ、
部品が壊れてもその部品だけ取り寄せることが出来ました。

木型を使って「砂型」を作る技術は、熟練した職人のもので、
今はもう作れないんですけどね。

「ぬかくど」は、22の鋳物製のパーツをただ乗せていくだけ。
「ネジ」を使わずに、組み立てることが出来ます。

ちょっと、やってみましょうか。

P3190001

まず、台座になる「敷台」に、「吸い込み扉」を付けます。
(パーツの番号と名称は、旧カタログにある正式なもの)


P3190002

灰を落とすために使う、4つのパーツです。


P3190003

「下胴」に「三本足」。
「廻転枠」に「廻転アミ」をそれぞれ組み合わせます。


P3190005

「敷台」に「下胴」を載せ・・


P3190006

「廻転アミ」をセットします。


P3190007

「廻転枠」のレバーをスライドさせると、アミがぐぁっと開くの。
そして、燃え尽きた籾殻が、ザザーッと落ちる。

これだけのギミック(仕掛け)を、ネジを一本も使わずに作る。
すごいでしょ。


P3190008

「花円胴・上中下」の3兄弟。


P3190009

初期型は、これが円筒形だったのね。
六角形に作り直したと言うことは、この形に意味があります。

穴の位置、大きさにも、
より効率の良い燃焼を得るための工夫が見られます。


P3190010

「富士あみ」とそれを支える「中間胴」。
国際かまどのプレートを掲げる花形「上胴」。


P3190012

「富士あみ」は、籾殻を支える、結構重要なパーツ。
「中間胴」にすっぽり納まります。


P3190013

「上胴」までを組み立て。
ここまで、寸分違わずに、ぴったりと鋳物がくっついていきます。

昔の職人の技術の高さに、驚くばかり。


P3190015

「花円胴」、「上胴」まで、全て組んだところ。
「廻転アミ」のレバーが、ちゃんと動くことを確認します。


P3190016

籾殻を追加で供給するためのパーツの5兄弟。

「補給胴」に「補給焚口」と「補給扉」を、2個ずつ合体。


P3190018

こんな感じのUFOになる。


P3190019

だんだん、形になってきましたね。


P3190020

「釜受け」に合体する、「下つば」「中つば」「上つば」の3兄弟。
その上に、羽釜を支える「兼用器」が乗ります。


P3190021

ここの組み立て、慣れないと訳分かんなくなっちゃうんだけど。


P3190022

こういう感じになります。
かまどの煙だけ、横の排気筒に流す仕組み。

水にかかる部分なので、いちばん、お手入れが大切なとこ。


P3190023

これで完成。

未確認ですが、アタッチメントを付ければ、
サンマも焼けたとか。


P3190024

オプションで、「花ごとく」と「便利蓋」が付いてきます。

ちなみに、取り扱い説明書はいまだ見たことがありません。
だからこの記事、書いてんだけど(笑)。

じゃあ、最後にこれの使い方も。

P3130065

籾殻は、必ず『良く乾燥させたもの』を、使うこと。
湿気ってると、燃えません。


P3130072

1回の炊飯に、必要な籾殻は、7升。
2000mlのカップで、約7杯入れます。

3回戦炊くと、米袋ひとつ分の籾殻を消費します。


P3190025

「花円胴」の中心に、「便利傘」を置き、
その廻りの空洞部分に、籾殻を計量して入れていきます。


P3130066

傘を外したところ。
中心の燃焼筒には、籾殻を入れないのね。


P3190029

「花ごとく」をはめます。


P3130071

中心に、良く乾かした『杉の枯れ葉』を入れます。
焚き付けには、最高の素材です。


P3130073

新聞紙を1cmくらいに裂いたものを、少し入れます。
これに火を付けて、籾殻に着火するのね。

鋳物製のぬかくどは、雨に弱く、
基本、屋内の土間で使用します。

正常に運転する場合、完全燃焼するため、煙は出ません。


P3130076

最後に、こんなかんじの「コヨリ」を作るのね。
片方は絞って、片方は、ヒラヒラ。

この状態で、羽釜の用意をしておきます。

一回で炊飯出来るのは、5合から1升半まで。
ベストの炊きあがりは、1升~1.2升です。
白米の場合、15分吸水。30分水切り。
五分搗きの場合、3時間吸水。30分水切り。


羽釜に、米と計量した水を入れておきます。


P3130102

コヨリに、火を付けて、中心に落とします。


P3130103

火は、焚き付けにチョロっと、燃え移って。


P3130105

ぐーんと膨らんで。


P3130107

そのまま、一気に膨らみます。
ここまで、わずか20秒くらい。


P3130109

激しく上がる火柱。
うかつにのぞき込むと、前髪が燃え尽きます。


DSCF6463

実際、羽釜1升半(ごはん33杯分)を沸騰させる火力って、すごいんですよ。
みるみる羽釜の縁から、蒸気が溢れます。

1升半で、直径30cmの羽釜を使います。
35分で、自動的に火が消えるので、そのまま15分蒸らします。

火を付けとけば、勝手にごはんが炊ける。
『自動炊飯器』のご先祖さま、なんです。



ぬかくどは、時代の流れとともに廃れてしまった道具だけど、
そこには、もののない時代を創意工夫で乗り切ってきた、先人たちの知恵があります。

それにね。
いろいろ不便なところを、ちょこっと工夫で乗り切るのって、
いつもワクワクする。

不便なことも楽しめば、それはそれで、ハッピーなのね。


bluetailhappiness at 16:44│Comments(13)TrackBack(0)clip!環境をかんがえる 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by やまの   February 05, 2012 20:10
5 我家も今日はぬかくどでごはん炊きました。
ぺ-ル缶ですが。
大人9人、子供7人。
燃料も米も自給率100%は気持ちいいです。
しかしこの分解はすごいです。!
2. Posted by papa   February 05, 2012 22:36
やまのさん。
そういえば、ぬかくど使ってましたね。
一度遊びいきたいと思いつつ、まだ叶いません。

今、ちょっと悩んでいるのですが。
ちょっと調べると、これ系の記事、読む人がえらい多いのです。

日本中のパイロマニアの巣窟になりつつありますね。
このブログ。

ちょっとロケットストーブに力を入れすぎたか。
うーん。
3. Posted by 。   February 06, 2012 16:15
マクロビオティック・ダンディの
秘密道具でしたね。
たしか…。
4. Posted by わたなべ   February 06, 2012 17:14
 ありがたいことに、(長野の)富士見のJAファーム(Aコープのお隣の農機具屋さん)に行くといまも新品、売ってたりします。鋳肌をみたら、どうも砂型みたいでした。錆びてないし、最近、再生産されたのかもね? 砂型の技術を絶やさないためにも、こうしたいいものが末永く生産される世の中になるといいですね。
5. Posted by papa   February 06, 2012 19:07
>マクロビオティック・ダンディの秘密道具

ははは。
「ぬか」りなく、女性を「くど」く。
・・・でしたっけ。

ダンディ、元気かなぁ。
6. Posted by papa   February 06, 2012 19:10
わたなべさん。

砂型での再生は難しかったらしく、鉄の型での再生を宮城県の佐藤金物さんが成功させていました。
たしか、一台13万円だったかな。

鋳物に代表される日本の技術は素晴らしいものがありました。
必要ではないとされて、消えていくものですが、
いつかまた使う日が来そうな気もするんですよね。
7. Posted by めぐみ   February 23, 2012 09:14
うわ~ すごい

この記事 今気が付きました

読んでいて どきどきいたしました

え~っと 素晴らしい!

この釜を 工夫して作り上げた方の喜びのような

ものが みしみしと 伝わってきます

パパさん

素晴らしい記事をありがとう 感謝です

ごきげんよう
8. Posted by papa   February 23, 2012 12:53
こんにちは、めぐみさん。
そうですか。
この記事でドキドキしちゃう人ですか。
やっぱり来るべくして、辿り着いた方でしたか。

>みしみしと 伝わってきます

みしみしの新しい使い方ですね^^。
9. Posted by VW   October 01, 2012 09:39
国際製の部品が何点かございますので、
必要でしたら、
ご連絡ください。
ヤフーオークションに出品中です。
10. Posted by papa   October 05, 2012 20:19
ちょっと高いですかね〜^^。
すいません。
11. Posted by 丹治実   December 24, 2012 09:44
ぬか窯が手に入りましたが一部に破損が見つかりました、部品を探しています、お持ちの方はご連絡ください。(国際竈)花円胴下・花円胴中・花円胴上が必要です
12. Posted by papa   December 24, 2012 22:16
ハンズ佐藤さんに連絡してみて下さい。
詳細、メールしておきました。
13. Posted by ヴぁんぱいや   January 09, 2013 20:23
薪ストーブのホンマ製作所より2010年に復活したのか今もあるみたい
http://www.honma-seisakusyo.jp/shopdetail/029002000001/order/

わたしゃこっちが欲しいっす。
http://d.hatena.ne.jp/musikusanouen/20120922/1348318625

どちらも、エネルギーとして有効活用しつつ、煙わずかで、くん炭が出来る優れモノ。
煙突立てて煙モクモク、近所迷惑なくん炭焼きとえらい違いやん
 ペルチェ発電もくっ付けられそう

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔