September 29, 2010

伝統の技と現代家具展

友人の企画した「伝統の技と現代家具展」を見に行きました。

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福岡の方の桐箪笥(きりだんす)を作られる職人さんの作品が展示されています。
存在感からして、違う次元の家具ですね。


でもね、正直、タンスに興味を持ったことはないんです。

以前、彼のギャラリーを訪ねたときに、
うっかり「ああ、このテーブル素敵ですね」と話したのが「地雷」だったのね。

彼の『伝統と継承される技術』にかける想いは熱く、
本物の桐箪笥について、30分ほどレクチャーを受け、
僕も桐箪笥について、熱く語れる男になりました。

なんか伝染するみたいです。

折角だから、ちょっと聞いていってください。


桐(きり)は、ゴマノハグサ科の落葉広葉樹。
昔の人は、鳳凰の止まる神様の木として、大切にしてきました。

成長が早く、20~30年で、立派な木になります。

会津では女の子が生まれると、桐の苗木を2本植えるという風習がありました。
大きくなる頃には、桐も一人前になるから、
それで箪笥と長持(ながもち)を作ったのね。

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桐で作られる箪笥には、虫を寄せ付けず(防虫)、タンスの中の湿度を一定に保つ働き(調湿)があり、着物を収納する環境として、とても優れています。

引き出しをね。
ひとつパタンと閉めると、違うところがすっと開くの。
引き出しの隙間が、きっちりしているのね。

洪水で箪笥が水没しても、木が膨張して、引き出しの中への水の侵入を防ぎ、
火事で家が全焼しても、抜群の耐火性能で、大切な着物を守ります。

引き出し、パタンとしめて、
違うところがすっと開くのは、楽しい。

しばらく、童心に帰り、パタン、パタン。

「パパさん、こちらも見ますか」

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焼いた桐で作られたテーブルセット。
木製のテーブルだけど中心に、囲炉裏があるの。

古い豪商の家に伝わる家具のような存在感があるけど、デザインはモダン。

良いなぁ。

こんなのが僕のお店の真ん中にあって、
真ん中のふた、ぱかっと開けると、囲炉裏が現れるの。
それで、じゃあ山の幸でも焼いちゃう?

・・なんて想像も膨らみますが、
しっかりしたお値段ですね。

ええ、見るのは、ただですから。

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桐で作った椅子、不思議と座り心地がよいのです。

何でだろうと思っていたら、じかに座っても冷たくないのね。
人肌のような、暖かさ。

科学的に調べると、桐という木材は、遠赤外線が出る不思議な材質らしい。
表面も焼いて、炭化してあるから、その効果がさらに高まるの。

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桐のベッド。
遠赤外線、出まくりである。

これは、結構、人気らしい。


しっかりとした作り手のもの。
その存在ひとつで、部屋の空気感が、がらりと変わることがあります。
それは、素材のもつ暖かみであったり、心地よさであったり。

でも、まじめに作るほど、効率が悪く、ビジネスには向かないことが多いのです。

オーナーの友人は、日本全国を飛び回りながら、受け継がれてきた仕事が、
どんどん失われていくのを肌で感じています。
少しでも今の人に、こういう技術に触れて欲しいと、彼は企画展に熱心です。


ちゃんと作られる『家具』って高いけど、
「良いものをずっと長く使う」も、ひとつの考え方だと思う。

ドイツのひいおじいさんの時代の暮らしぶりを紹介した本を読みました。
昔は「ゴミ」という言葉がなかったみたい。

おじいさんは、亜麻からリンネル布のシャツを作ります。
破れたシャツは、何度も繕って、洗ってずっと使い、
ボロボロになったら、堆肥に入れられて、亜麻畑に戻っていく。
それは、また来年その村に生まれる赤ん坊のシャツになるの。

また、おじいさん達は、古い家を直して住んでいました。
家具も何度も直して、形を変えて、長く使います。
家や家具は古いほど、その価値があったのね。

おじいさんが作った椅子も、そのリンネル布のシャツも、
ずっと使って、何度も直して、最後は土に帰ります。

良いものは、親から子へ、子から孫へ。
味を深めながら、いつまでも受け継いでいけるものだと思います。

そして、どんなに世の中が便利になっても、
そういう作り手の技術が残っていけるようにと思うの。


「伝統の技と現代家具展」
企画展、10月11日(月)まで、やっています。

(ちなみに彼の店、器の品揃えが、異常に良いです。
 器好きな人は、危険だから気をつけてね。)

hosaka











 【ライブ工房 ホサカ】

 山梨県甲府市飯田5-17-41
 055-222-3204

 20号線からアルプス通りに入り、『甲府西中北西』の信号を
 左に右折するのが、ポイントです。
 (*「一方通行」の看板出てますが、朝だけです)



bluetailhappiness at 18:07│Comments(16)TrackBack(0)clip!例えばこんな話 

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この記事へのコメント

1. Posted by Levi   September 29, 2010 20:49
こんにちは

家具って庶民が使い始めたのはいつからなんでしょうね。
ちゃぶ台も昭和に入ってからですよね。
江戸時代は家具らしいものを持っていなかった。
件の桐の木を植えるのは武士?

私は中学生位の頃からヨーロッパの家具や物を受け継ぐ伝統が好きでした。
だからか使い捨てには抵抗があります。
もちろん100円ショップもありがたく利用しますが、物によりますよね。

桐のたんす良いですね。
遠赤外線が出るベッドで寝ると健康になるかしら?
2. Posted by papa   September 29, 2010 21:16
>家具って、ホントは、親から子へ、子から孫へ。
味を深めながら、いつまでも受け継がれていたものでした。
いつのまにか、椅子も箪笥も、消耗品になっています。

最近、「木とつきあう智恵」というドイツの方が書いた新月伐採の本を読んだところだったので、何となくドイツの18世紀頃のイメージが頭にありました。

しかし確かに、江戸時代頃までは、
配膳は小さな台で済ませていましたし、
家具と云えば、文机、行灯くらいだったような気もします。
それも、武士レベルだったかも。

上手く表現できなくて、申し訳なく思います。
ちょっと文章全体を見直してみます。
3. Posted by goodtime-masuho   September 29, 2010 21:36
【桐の木について】
流通している桐の木の9割は残念ながら外国産。
地道にご夫婦で40年ほど会津の山に桐を植え続けている材木屋さんもいます。

良質な国産桐はまず琴になります。
琴に使えなかったものが箪笥や下駄などになります。
桐は柔らかいけれど、摩滅に強いので、下駄などにも使われます。
敷居すべりや戸車のなかった時代、敷居の溝に桜や竹をはめ込み、建具の下側に桐の薄板を取り付けて使ったもの。
この細工をするとガラス戸のような重い建具でもすべるように動きます。
特別ないわゆる「いい仕事」、「手の込んだ仕事」でした。

>衣服や住まいのホルムアルデヒドは、厳しい規格があるのに
家具だけなんにも制限しないのも不思議に思うのです

量産品の家具にも今はホルムアルデヒドの発生に対しては配慮がされています。
誤解のないように。
4. Posted by papa   September 29, 2010 22:21
>ホルムアルデヒドの発生

師匠が読む前に、修正が間に合いませんでした。すんません。

>流通している桐の木の9割は残念ながら外国産。

なるほど。それで桐を使う人は少ないのですね。

この職人さんの家具に使われる桐は、
会津や岩手のものだと聞きます。
伐採してから、最低10年寝かせるそうです。

今買うと、使うのが10年後。

だから、先代が、ずっと先を見越して、
次の代のために、桐を買っておくのだと聞きました。

受け継ぐ「伝統」というのは、技術だけではないのかもしれないのだと、感じました。
それにしても、書くのって、やっぱりたいへん。
5. Posted by おちゃのじかん   September 30, 2010 08:12
想いをこめて作られたものっていいですよね。古くなればなるほど味が出て・・・安い物をたくさん持っているより、本当にいい物を大切にする暮らしが豊かな暮らしだと思います。
桐のことはまったく知らなかったので、とてもいい勉強になりました。ありがとう
6. Posted by papa   September 30, 2010 09:16
最近、昔の建具をよく見ます。
質素だけど、今とは違った豊かさがあったような気がしました。

良いものを見るのは、とても刺激的です。
ちょっとした暮らしの美術館のようでした。
7. Posted by 保坂   September 30, 2010 13:29
Papaさん
展示会の紹介をしていただき、ありがとうございます。

>量産品の家具にも今はホルムアルデヒドの発生に対しては配慮がされています。

実は、家具に用いられる合板には、建築の際に用いられる合板のように使用する合板の指針等が決められてはいません。
確かに「低ホルマリン」といううたい文句で売られている家具もあります。
しかし、ホルマリンはゼロではありませんし、低ホルマリンでない家具も売られているということです。

私が危惧しているのは、赤ちゃんや子供の洋服を入れるのにホルマリンが発生する可能性のある箪笥を使うことです。
大人には大丈夫な場合でも、小さな体の子供には影響が出ることがあると思います。
昔に比べ、アトピーに苦しむ方々が多くなっているのも無関係と思えません。
8. Posted by papa   September 30, 2010 15:07
ホルムアルデヒドに対する記述は、あえて外しました。
(ちなみにホルムアルデヒドの37%水溶液が「ホルマリン」です)

必要な情報だとは思います。
しかし、展示品が商品であるという属性上、それ以外のものの危険性を指摘することは、自分の方針にそぐわないのではないかと考えたからです。
ホルマリンの記述も一部訂正させてください。

【家具とホルムアルデヒド】について詳しく知りたい方は、下記リンク(東京都福祉保険局・調査)をご覧下さいね。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/iyaku/anzen/horumarin/index.html

今日、今回の記事は、しっくり来ない部分が多く、書き直しが多かったので、ご連絡が遅くなり、フォローも遅れました。申し訳ありませんでした。
9. Posted by goodtime-masuho   October 01, 2010 08:57
>おじいさんが作った椅子も、そのリンネル布のシャツもずっと使って、何度も直して、最後は土に帰ります。

☆柄の8000円のTシャツもお人形の服になり、
未来のファッションデザイナーの原点となり、
土に返ります。
そして、POPなコックコートとなって戻り、
世界に☆柄旋風を巻き起こす。
☆柄コックコートをまとった
70代の老練なシェフ!!

いいねぇ~。
10. Posted by goodtime-masuho   October 01, 2010 09:04
papaさんへ 追記

知人のところに古い板戸が何枚かあります。
お店の改装に使用するのであれば、
分けて頂けます。

希望があれば、連絡を下さい。

業務連絡。
11. Posted by goodtime-masuho   October 01, 2010 11:37
papaさんへ 追記2

たびたびすみません。
明日2日(土)のミッションについて業務連絡
前回と同じ場所でAM9:00までに集合!
準備があるので、少し早めにおいで下さい。
それと印鑑をお持ち下さい。

ヨロシク!!
12. Posted by papa   October 01, 2010 13:06
>70代の老練なシェフ!!

星柄の70代。
デビッドボウイも、昔はあんな感じでしたが、
今ではめちゃくちゃ格好良いおじいさんです。

>古い板戸が何枚か

欲しいです。すごく希望します。
連絡しますね。

>前回と同じ場所でAM9:00までに集合!

師匠、それはメールで下さいよ(笑)。
了解です。
13. Posted by まりぽさ   October 01, 2010 20:48
丁寧なお仕事と洗練されたデザイン、ものすご〜く素敵ですね。
本物って、時が経つほどに美しく成長していきますよね。
桐のベッド、いいな〜、欲しいな〜。
うちにある桐の箪笥の一つは、ごみ捨て場から旦那がレスキューして来ました。
人間の手が作り出す作品の温かさって、格別ですよね。
papaさんも大工しましょーよー。
14. Posted by papa   October 01, 2010 21:30
>桐のベッド、いいな〜、欲しいな〜。

たぶん、ご主人、作れますよ(笑)。
桐植えれば、30年後にはベッドになります。

>papaさんも大工しましょーよー。

したいです。
弟子入りさせて下さい。
15. Posted by goodtime-masuho   October 01, 2010 22:14
>師匠、それはメールで下さいよ(笑)。

すみません、今送信している自宅PCには
papaさんのアドレスがないもんで。
16. Posted by papa   October 01, 2010 23:03
こちらこそ、すいません。
そうでしたか。

明日、宜しくお願いいたします。
明日に備えて、早めに寝て、しっかり休みます。

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