February 20, 2011

古い民家を直して住むということ

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お店作りのために、古民家の解体工事をすることになりました。
ここを、ずっと向こうの調理場まで全部、
床を抜いて土間にする計画です。

大工さんと僕で、古い材を一枚ずつ剥がしていきます。
こういう仕事は、初めてです。


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畳を剥がすと、木の床が出てきて、
その下は、さらに太い『木組み』で支えられていました。

この木組みが「根太ねだ」というの。
人間でいうとこの、骨みたいなものでしょうか。

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ホント、骨みたい。
床下に使われている材は、すごく古いなぁ。

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画像、右から2本目。
・・これ、敷居ですね。

たぶん、ここの前に立っていた民家を壊して、その木材を流用したようです。

昔は、『家の解体屋さん』というのがいて、家は全部バラバラにして、
木材の再利用をしていたのね。
エコというより、木材が貴重だったから。

今は、すごく木材が安くなってる。
だから古い家なんて、シャベルカーでガーンと壊しちゃう。
新しい家も、壊すのを前提で造るのね。

それが良いのか悪いのかは、僕には分からないけど、
分かるのは、同じように見えても、『家』は変わってしまったということ。


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家の柱は、石の上に立っています。
昔の家は、基礎の代わりにみーんな『塚石つかいし』の上に建てたのね。

床下は、もう普通に風がながれる。
こりゃ、冬は寒いです。

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なーにも無くなった、キッチン。
ここも1本、柱が腐っていました。

解体していくと、いろんなダメなところが目に付きます。

床の材の痛んでいるところ。
家の傾いている柱。
壁や柱のひび割れ。
雨じまいが悪くて、腐ってしまった柱。
ゆがんだ建具。

「古い民家を直す」というのは、マイナスからのスタート。
ゆがんだり、曲がったり、そういう不完全さを
許してあげられるような「おおらかさ」が無いと、古民家リフォームは無理。

物事が「キッチリカッチリ」じゃないとダメな僕には、
実際、これはかなり苦痛に感じます。

でもさ。

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南側から差し込む光。
田園の向こうに見える山々の風景。
古いこの家のもつ、暖かな佇まい。

それが好きで、僕はこの場所を選んだのだもの。


ハンマーを両手に握って、僕は、大壁の解体に取りかかります。

迷って、悩んで生きていくのも、自分で選んだことだから。
だから、まだまだネバーギブアップなのです。



この記事へのコメント

1. Posted by Levi   February 20, 2011 06:07
いよいよ工事が始まりましたね。
昔の家には遊びがいたるところにありましたよね。
地震が来ても揺れを吸収してくれたりしていた。

宮崎駿氏が町から音が消えたと言っていました。
昔は道を歩いているとまな板で野菜を切る音、食器を洗う音、テレビの音など生活音が聞こえてきた。
今は高気密の家なので室内の音が外にもれない。
町が死んだようだと。

家が変ったことが人も変っていったのかもしれませんね。
やっぱり、その「おおらかさ」が必要ですね。
2. Posted by まりぽさ   February 20, 2011 09:45
お久しぶりです。
いやー楽しそうーですねー。
根太も束石も床の土も土間も、みーんな再生の時を迎えることに、喜んでますねー。
何十年ぶりにキレイにしてもらえるんですもんね。
古くて汚いものほど、キレイにしてあげた時に、その物質の魂が「ありがとう」って喜んでくれる。
この間、友達の家のお風呂のタイル張りをした時に、古くて汚くなってしまったタイルに一枚一枚感謝しながら、お掃除して張り直していった時にそう感じました。
手伝ってくれる道具にも感謝して、いろいろなトラブルもぜーんぶ感謝していたら、すべてが協力してくれる不思議な感覚がしました。
木仕事も大好きですから、いつでもメール下さい(本気です!)
今期スタッドレスはいてますから、フットワーク軽いですよー(笑)


3. Posted by 。   February 20, 2011 10:19
愛着って、
手を掛けて、思いをかけて、
見て、触れていく内に、
いつかしら、心の中に、
ポッて、生まれて、育ってくのね。

先が見えてくると、
どうしても焦ってしまうものですけど、
専門外のことをなさってるってことを、
忘れないでね。
無理はなさらないよう、
そして、
お怪我だけは、なさいませんように。
4. Posted by みっこ   February 20, 2011 11:17
いよいよ始まったのですね。

うちは築29年で買って、16年経ちました。
16年前と5年前に根太を含む構造材の交換補強、筋交いをたしたりしました。
その時に、自分たちで柱や天井の洗いや壁塗りをしました。2度目の時には、娘が自分の部屋の壁塗りをし、珪藻土を塗りました。
1度目の時に、削岩機を使って裏のコンクリートを割り、レンガを敷いた花壇を作りました。その時に植えたヒイラギは30cmくらいだったのが3mを越えました。
あんまり古い家を改装したので、2度目の時は、地方テレビ局版のビフォーアフターにもテレビ出演しました(笑)
狭小住宅ですが、とっても愛着があります。
床下に風が通るのは地面が乾燥して腐りにくかったり、シロアリが出にくいのでは?
あ、シロアリは出ない土地柄だったかな?

楽しみだなあ、パパさんのお店。
じっくり味わい深いおうちを作ってくださいね。
5. Posted by fanta   February 20, 2011 20:58
くじけそうになるなあ。
私だったら、かなりへこむかも。

でも、それも乗り越えて 大変なことだけど・・その状況を経てなにかを掴みたかったのでは。それが出来るからこういう場がパパさんを呼ぶのね。
マイナスからの出発のほうが大きく化けるものだということがわかっていても、なかなかそこへ飛び込むのは勇気がいるもので その場を呼び込んで体当たりしてしまうパパさんを尊敬します。
6. Posted by papa   February 21, 2011 10:01
こんにちは、Leviさん。
Leviさんも、ほんとアンテナ広い。

>昔の家には遊びがいたるところにありましたよね。
 地震が来ても揺れを吸収してくれたりしていた。

僕の家もそうだけど、昔の家は、横に補強の板を入れていました。
斜めに入れないのね。
揺れるのを前提で、作ってある。

今の耐震構造の基準からいくと、強度のない国産材じゃダメになっちゃうんだけど(だいたい米杉)、地震が多い国なりの家の作り方があるんだと思うの。

快適だけじゃない、暮らしかたの「ゆるい感じ」を、
この家造りを通して、身につけたいなぁ思います。
7. Posted by papa   February 21, 2011 10:04
>何十年ぶりにキレイにしてもらえるんですもんね。
古くて汚いものほど、キレイにしてあげた時に、その物質の魂が「ありがとう」って喜んでくれる。

辛いとき、ありがとうって、つい、忘れてしまいます。
なんかまた、『戦い』みたいになっていました。
だから辛くなるのかな。

「ありがとう」の言葉は、美しいですね。

まりぽささん。
ヘルプまじめにお願いします。
8. Posted by papa   February 21, 2011 10:07
もさん、いまだ見積もり一つ定まりません。
大工さんにも、自分のやりたいことが伝わらず、物事のタイミングも上手くいきません。

一度リセットしようと思います。
もう一度、自分のやりたいことを、ゼロから考えて見ようと思いました。
9. Posted by papa   February 21, 2011 10:09
>地方テレビ局版のビフォーアフターにもテレビ出演しました(笑)

みっこさん、あれ出たの?
伝説的な番組ですよね。

あれと、「料理の鉄人」と「貧乏脱出大作戦」に出たいなぁと思っていましたっけ(笑)。
10. Posted by papa   February 21, 2011 10:24
fantaさん、久々の凹みブログですよ、これ。
もう、凹みまくっています。
人生、真っ暗闇。谷ばかりに見えるんですけど。


でもね、fantaさん。

やらなければならないことは、何も無い。
すべての人生に起こることの意味は、空です。

なら、この道でも良いじゃん。

どこ歩いても、大変さはそんなに変わらないし、
この道は、僕を退屈させない。
ただ歩き続ければ、良いのだと思うの。

それは、自分の運命に逆らわず、その天命を最大限に活かして、
人を愛し、愛されること。

この場所が、良くても悪くても、良いんだと思う。
僕が選んだことだもの。

この家造り、あんまりにも苦行過ぎて、
うっかり悟り開きそうですよ(笑)。
11. Posted by やまの   February 21, 2011 13:34
私も同じく奮闘中です。
この人ならわかってくれるかなあ~って思った地元の工務店の社長とは結局私のやりたい事が伝わりませんでした。
「最後は自己責任。自分と仲間でやります。」
と言っていました。
わかってもらえないもどかしさ、これが一番つらかったです。
解決できない問題は目の前に現れない。
仲間が解決できない問題は、自分でできる範囲のはず。
そうおもって、日々奮闘中です。
頑張りっすぎないであきらめない。
きっと必要な時に必要な人が現れます。
きっと・・・良い解決策も浮かびます。
私は一昨日、風呂場の自分らしい解決策を思いつきました。
籾殻で断熱し、呼吸する風呂にします。
この答えにたどり着くのに半年以上かかりました。
待ちましょうゆっくりと。
ぱぱさんの中からきっと湧き出てくるはずです。
また会いたいですねえ~。
PS 昨日は我やのぼんちゃんとまりちゃんが遊びに来てくれました。


12. Posted by papa   February 21, 2011 15:59
こんにちは、やまのさん。
僕の分かってもらえないは、僕に原因がありました。

小さな子供のいるお母さんが、安心してくつろげる場所にしたかったから、化学塗料とか出来るだけ使わない店作りをした。
安全な材を選びたい。
自分で出来る部分は、自分でやりたい。
この家の持つ雰囲気を残して、それを活かす店作りをしたい。
建物を壊すのは最小限に、使えるものはできるだけ再利用したい。
お客さんも家族も、快適に過ごせる場所を作りたい。

ちゃんと自分のことが分からず、
自分を伝えることが出来なかったのです。

今度は出来る。
ちゃんと出来ると思う。
13. Posted by 。   February 21, 2011 19:39
「願わしいことも、
願わしくないことも、
みんな意味のあることにしていく。
それは、とても面白いことです。」

曽野綾子さんの言葉です。

パパさんが今、試行錯誤しながら、
積み上げてらっしゃる経験は、
いつかきっと、
誰かの役に立つものになると思いますよ。

もちろん、パパさん自身のためにも、ね。
14. Posted by papa   February 21, 2011 23:14
本気で「ビフォーアフター」出演しようかと、
ホームページ見ちゃった(笑)。
でも、違うと思うの。
こういうのじゃない。

逆風強すぎて、目も開けられない状態ですが、でも負けません。

もさんの言葉が、心にぐっと染みて、
うっかり成仏するとこでしたよ。もう。
15. Posted by goodtime-masuho   February 22, 2011 00:52
「しなければならぬ時が
  解決に一番良い時」
今日のカレンダーに書いてありました。

古民家って...寒いぞ~。
16. Posted by jucon   February 22, 2011 07:35
解体して出た材料はどうしますか?
古い建具ありますか?
使い道に困っていたら、お声掛けください。(笑)
17. Posted by 。   February 22, 2011 07:36
家って、生きものなの。
長いこと放っておかれた古民家って、
すねてるか、ぐれてるか、いじけてるか、
の、どれか。笑

せいぜい、風を入れてあげましょう。

ただ、湿気って、家には大敵だけど、
人には、ある程度の湿度は必要なの。
もちろん、温度も、ね。

古民家は、寒いぞ~。( ̄~ ̄)ξ
18. Posted by みっこ   February 22, 2011 20:33
ウフフ、私が出演したのは、海賊版(?)です
19. Posted by papa   February 23, 2011 08:30
goodtime-masuho。

>古民家って...寒いぞ~。

20cmの籾殻床下断熱を考えています。
天井は、畳材を入れて、断熱。

うまくいきますかね。
やるだけやってみます。
20. Posted by papa   February 23, 2011 08:32
juconさん、初コメント♪

>解体して出た材料はどうしますか?

素人目に見ても、あまり良い材とは云えません。
それは、薪になります。
建具はいくつか使わないものがあります。

使うのと使わないのを分けてから、写真にでも撮って、
ブログの記事にしましょうか。
21. Posted by papa   February 23, 2011 08:33
>海賊版(?)です。

海賊版もあるの?
22. Posted by papa   February 23, 2011 08:35
>すねてるか、ぐれてるか、いじけてるか。

たぶん、全部です。
そして今僕が、すねてるか、ぐれてます。

>古民家は、寒いぞ~。( ̄~ ̄)ξ

なんだか楽しんでません?(笑)

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