July 28, 2011

家の寿命、古い家の価値

アプローチの手すりを作っています。

炎天下の作業は、暑っついですね。
それでも古い家の中は、涼しいのが不思議。

しばし休憩。

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大工さんとあれこれ、話に花が咲きます。

僕の家を手伝ってくれてる大工さんは、古い大工道具を使いこなし、
左官仕事もやる、家具も作るの、オールマイティ。

建築のことも、いろいろ詳しいのです。


僕が、
「今の家は30年しか、もたないですよ。
 100年、200年もつ昔の家のほうが優れていると思う」
・・そんなことを云うと。


「パパ、それは違うんだ」

 大工さんが云います。

「パパよぉ。

 『古民家』って響きに憧れて、家買って、移住してくる人も多いけどな。
 古民家で暮らすってことは、大変な事なんだ。

 冬は寒いし、暮らしは不便。
 メンテナンスも、ずっとしなくちゃいけない。
 そのうち大変になったり、飽きちゃって、手放しちゃう人も多いんだよ。

 人が住まなきゃ、家は朽ちる。

 「古民家」売る人は、そういうことは云わない。
 大黒柱がどうとか、造りがどうとか、良いところばっかり云うだろ。

 楽しようと思ったら、古民家には住めない。

 古民家で暮らすんなら、
 不便さも楽しいと感じるこころが、必要なんだな。


 あとよ。

 今の家だって、30年しかもたないわけじゃない。
 「住んでる人」が、飽きちゃうんだよ。

 30年も経てば、住む人の「代」も変わるだろ。
 子供達は古い家より、新しい家の方が良いって云う。

 そしたら、その家を壊すか、別の場所に新しい家を建てる。

 どんなに良い家を建てても、親が死んだら、誰も住まない。
 やっぱり、家は壊すか、朽ちていくかのどっちかしかないんだ。

 だからよ。
 30年しか続かないのは、家が、悪いわけじゃないだよ。

 俺たちは、人の暮らす家を造る。
 人が暮らすから、家は価値があるんだ。

 大事にして欲しいと思うんだけどな」



そうですね。・・この家を大事にします。


思うんです。

ヨーロッパでは、家は、古いほど価値があるの。
ずっと長く、何度もリフォームして使い続けるのが当たりまえ。
石造りの家で暮らす国の、独特な考え方だと思う。


でも、木の家に住む日本は、文化も考え方も違う。
古い家になるほど、資産価値は『ゼロ』。

古くなれば、建て替える。
昔も、そうだったかもしれない。

それでも、昔の家は「自然の循環」の中にありました。
昔は『解体屋』という職業があって、木組みの家の使える材は、もう一度使うし、
使えない材も、すべて土に還っていたの。

それが、日本の伝統だったと思う。
しかし・・「家」は変わってしまいました。

早く、安く建つ家。
新建材とコンクリートの家は、30年経つとその全てがゴミになります。
『解体屋』も、みんな姿を消しました。


Ohanaを作るために、ほぼ一年、
ずっと「家」と、向き合ってきたけど。

僕たちが抱える問題のほとんどは、昔から続いてきた『知恵』と、『私たち』のリンクが切れてしまったところに、原因があるように思うの。


僕は、家を造ります。

大工じゃないけど。
どうしてそうするのか、分からなかったけど。


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きっと、それは大切なことだったと思うのです。



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この記事へのコメント

1. Posted by Levi   July 28, 2011 14:53
こんにちは

そうですね、古い家は不便なことも多いでしょうね。
でも、不便だから知恵が働く。
制約があるから工夫する。
人が働くよりエネルギーに働いてもらって、楽をしてエネルギーがたくさん必要になって「原発無いと困りますよ」を信じちゃった。

昔は世代を超えて一緒に住んでいたから、住み続けられたんでしょうね。
ライフスタイルも生活時間も違うから別の方が楽。今は出て行くのがあたりまえ。

成熟した社会と言われますが本当にそうなのかと思っちゃいます。

2. Posted by    July 28, 2011 16:22
共同作業も多かったですわね。
藁ぶき屋根とか、石垣もね。
職人さんも、もちろんいらしたけど、
少々不格好でもいいなら、と、
色んな手仕事を自分でこなせる方が
大勢いらっしゃいました。
それは、たぶん、
1つの物を、大事に手を入れながら
長く使ってきたことの証。

大工さんのおっしゃることも
よく分かるんですけど、
今の家は、やっぱり
20年か30年しかもちませんよ。
そういう材料しか使ってませんもの。
解体しても、がれきにしかならない。
昔の家のように、つぶしはききません。
坪単価の安い住宅メーカーの家には、
安い理由がありますの。
人件費は、削れないんですもの。
他に、何を削ります?
おじじは、手抜きの家を作りたくないから、
建築屋を辞めたのです。

乱暴な意見かもしれませんけど、
粗悪な家が増えるのも、
100円ショップが増えるのも、
根っこは同じです。

使い捨てって、嫌な言葉ですけど、
作る側も、買う側も、
そういった風潮が大半を占めています。
ただ、救いは“全部じゃない”ってこと。

この大工さんみたいな作り手もいれば、
パパさんみたいな買い手もいる。
そして、その二人が
こうして出会えるんですから。


3. Posted by papa   July 30, 2011 22:41
もう、4ヶ月かな。
お店作り、やってるの。

僕みたいなケースは、本当に希で。
幸運なのだと、思います。

もっと時間無いもの。普通。

じっくり、店のひとつひとつの造作と、向かい合う時間がありました。トラブルが多くって、悩んだり、頭かきむしったり。
今、現在進行中で、そんな感じですけど。

いろいろな経験が積めたこと。
たくさんの人に手助けしていただいたことに、感謝します。

あと、わがまま聞いてくれてる嫁に。

もうすぐです。Ohana。
4. Posted by やまの   September 09, 2011 11:58
わたしも未だに家をつくっています。
新築たてる方が簡単だった。
今はそう思える。
だけど、今の家の問題点をいっぱい知る事ができました。
築20年で足下は最悪でした。
だけどちゃんと向き合って、解決策を見いだしました。
1枚480円で売っている石膏ボード。
10枚も壊せば2万円くらいの処分費用がかかります。
その他にも、、、、、、、。
会ってお話ししたいです。
来週末伺ってもよろしいでしょうか?


5. Posted by papa   September 09, 2011 23:24
どんなものにも、両極があります。
今の時代は、その両極のギャップが、著しくなって来ているんだと思うのです。

きっと、どちらの家造りが正しいというのは、
なかったのかもしれない。
最近、そういう風に思うようになりました。

どちらの家を建てる人も、自分たちの中の正しいで、
それを選ぶのだから。

ただ。
きっと、人の数だけ、様々なスタイルの家があって良いと思うの。

それは、大変だけど、面白い。

誰かが、そんな家造りをしたいと思ったとき、僕ややまのさんの経験が役立つこともあるかも。


やまのさん。
真ん中だと思うの。

その調和する場所を探していきたい。
家造りをとおして、僕が学んだことです。
6. Posted by papa   September 09, 2011 23:26
来週、土曜日は息子と娘の運動会です。
お父さん、二人三脚に出場してきます。

18日の日曜なら、時間作ります。
宜しかったら、メールくださいね。

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